2019 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病による動脈硬化亢進機構と運動効果:マクロファージのインスリンシグナルの役割
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18K10856
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
白土 健 杏林大学, 医学部, 学内講師 (60559384)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マクロファージ / インスリン受容体 / インスリン / インターロイキン-4 / M2型マクロファージ / シグナル伝達 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の目的は、マクロファージのインスリン受容体シグナル伝達系と脂質代謝調節機構のクロストークを明らかにすることであったが、マクロファージの脂肪滴形成にインスリンは大きな影響を及ぼさなかった。そこで、令和元年度は、マクロファージの抗炎症性M2型フェノタイプへの分化誘導に対するインスリン受容体シグナルの影響を明らかにすることを目的とした。実験には、成熟期雄性C57BL/6Jマウスから採取した腹腔滲出性マクロファージ(peritoneal exudate macrophage:PEMΦ)を用いた。PEMΦをインスリンで刺激した後、培養液にインターロイキン-4(IL-4)を添加してさらに培養を行い、細胞からRNAおよびタンパク質(全細胞、細胞質、核の各画分)を抽出した。M2型分化マーカー遺伝子(Arg1、Mgl2、Retnla)のmRNAレベルと細胞内シグナルタンパク質(STAT6)のリン酸化・タンパク質レベルを、それぞれリアルタイムPCR法とウェスタンブロット法で分析した。IL-4によるArg1、Mgl2、RetnlaのmRNA発現誘導は、インスリン刺激によって有意に増強された。さらに、この発現増強効果は、STAT6阻害剤によってほぼ消失した。一方、IL-4によるSTAT6のリン酸化亢進と核内移行は、インスリン刺激による影響を受けていなかった。しかし、核内移行したSTAT6の消失速度は、インスリン刺激によって有意に低下していた。以上より、PEMΦは、インスリン刺激に応答して、抗炎症性M2型フェノタイプへの分化誘導が増強され、そのメカニズムにはSTAT6の核内局在時間の延長が関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であるマクロファージのインスリン受容体シグナル伝達系と脂質代謝調節機構のクロストークの解明については、期待通りの結果を得ることができなかった。しかし、令和元年度に得られた結果から、インスリンの急性効果として、マクロファージの抗炎症性M2型フェノタイプへの分化誘導を増強させることが明らかになり、マクロファージのインスリン受容体の生理的役割に関する新しい知見を見出すことができた。そのため、本研究は、現時点において「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、マクロファージの抗炎症性M2型フェノタイプへの分化誘導に対するインスリンの増強効果のメカニズムを明らかにすると共に、習慣的運動の効果を検討する予定である。
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