2019 Fiscal Year Research-status Report
筋発揮の推定および用具挙動にもとづくゴルフクラブの統合評価システムの開発
Project/Area Number |
18K10857
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
田中 克昌 工学院大学, 工学部, 准教授 (90313329)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スポーツ工学 / 有限要素解析 / 逆動力学解析 / ゴルフクラブ / 筋骨格モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,有限要素法を用いて,スイングからインパクトまでにおけるクラブやボールの挙動を高い精度で表現できるシミュレーションモデルを構築するとともに,筋骨格シミュレーションを用いてスイング時における筋発揮を推定することにより,スイング中のクラブ挙動および身体負荷を考慮した各指標の提案を行い,用具挙動および身体負荷の両面からクラブを統合的に評価するシステムを開発することを目的としている.このうち,本年度は,モーションキャプチャシステムを用いて取得したスイングのデータを用いてスイングを表現する逆動力学解析モデルを構築し,スイング動作の表現に寄与する関節トルクや筋発揮を推定することを中心に研究を進めた. まず,モーションキャプチャシステムを用いて,被験者によるスイングの三次元動作計測を行うとともに,クラブ挙動を計測した.このとき,対象としたクラブの質量と慣性モーメントを計測し,これらの特性を逆動力学解析に反映できるようなクラブのモデルを構築した. 次に,取得した動作データをもとに,被験者の身体的特徴を反映した筋骨格モデルを用いてスイングを表現できるようにした.このとき,動作データにはフィルタリング処理などを施した.そして,スイングを再現できるようにした逆動力学解析から,スイング時における関節トルクや筋発揮を推定した. さらに,スイング中の動作と,各関節トルクや筋活動との関係を比較することにより解析結果の妥当性を検証するとともに,スイング動作の発現に寄与するトルクや筋活動の作用を特定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の当初計画を,被験者によるスイング動作の計測データをもとに,筋骨格モデルを用いてスイングを表現し,スイング中の関節トルクや筋発揮を推定することとしており,モデルの精度に一部改善の余地を残しているものの,おおむね達成できている状況にある.これに加えて,次年度に実施する予定としている,クラブの評価指標を検討するにあたって必要となってくる,スイング動作の発現に寄与するトルクや筋発揮を推定できた.このことは,次年度への計画を円滑に進める上で有効であり,その初期検討を本年度に着手することができている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,筋骨格シミュレーションより得られた結果と動作との関係から,クラブの評価指標につながる指標を提案するとともに,グラブの挙動および身体負荷の両面からクラブを統合的に評価するシステムを開発することを中心に研究を進める. まず,筋骨格シミュレーションの結果をもとに,クラブの評価指標を検討するにあたっては,たとえば関節トルクや筋発揮の最大最小値から指標を定義するのではなく,スイング動作とそのときの筋活動から,スイングの発現に重要となる動作範囲における筋発揮の積分値など,動作との関係性を考慮した指標として提案することを想定している.同時に,提案した指標とインパクト時のヘッド速度やボールの打ち出しとの関係を調査し,クラブ挙動との関係も踏まえながら,提案した指標を吟味していく. 次に,上記にて検討した指標とインパクト挙動との関係から,飛距離の向上や方向安定性などの目的に対応した評価指標についても提案し,クラブ評価への活用の可能性を吟味していく. 以上の検討から提案された指標が,異なる被験者や異なるクラブ特性に対しても適用できるかを検証していき,この検証により,クラブの力学的特性と身体負荷を考慮したクラブの性能評価システムを提案することにつなげていく.
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Causes of Carryover |
昨年度に導入した筋骨格ソフトウェアを使用するには,そのライセンスの初期導入費用のほかに,年間保守費用が発生する.この保守費用は次年度も発生するが,本年度の途中で消費税が10%になったことから,当初の予定よりも増税分が増額となる.次年度において,本課題の申請時になかった保守費用の増税分を確保するために,次年度における当初の交付額を踏まえて,本年度の使用計画を変更している. 次年度は,当初の計画にある使用額に加えて,保守費用に対する増税分の増額を見込んで使用していく予定である.
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