2020 Fiscal Year Research-status Report
分子栄養医学に基づいたアスリートに特有な代謝障害の解明
Project/Area Number |
18K10858
|
Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
羽田 克彦 国士舘大学, 体育学部, 准教授 (60506228)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 細胞 / 分子栄養学 / アスリート |
Outline of Annual Research Achievements |
激しいトレーニングを重ねるアスリートにとって、栄養の代謝は競技パフォーマンス向上や健康維持のために極めて重要な因子である。代謝は三大栄養素を効率よく利用するために重要な概念であり、代謝に問題があると栄養失調と類似の症状を来す。ところが、アスリートの食事内容や食生活を調査したところ、ビタミンやミネラルに比べて炭水化物の摂取割合が多いなど、栄養摂取の偏りがみられた(麻見et al., 2005;飯出 et al.,2010)。このような栄養摂取のアンバランスが顕著になると、代謝障害によりアスリート特有の慢性疾患(スポーツ性貧血やオーバートレーニング症候群、自律神経失調、高尿酸血症、喘息、循環器疾患など)に罹患するリスクが高くなる。明らかな症状が無くても不定愁訴や所謂“調子のムラ”など自覚症状に乏しいものの競技パフォーマンスに影響するような体調不良に繋がるケースが多くみられる。また2007年に米国スポーツ医学会より、女性アスリートに好発する健康障害として“女性アスリートの三主徴”(利用可能エネルギー不足、無月経、骨粗鬆症)が発表された(Nattiv A. et al., 2007)。これは、鉄、カルシウム、ビタミンB群、タンパク質など代謝に関わる栄養の不足と深い関係にあることが分かっており、現役期間の健康状態を悪化させるだけでなく、引退後の骨折リスク増加など生涯を通じた影響が示唆されている。このようにアスリートの栄養アンバランス是正による代謝改善は喫緊の課題である。本研究では、長距離走の記録に相関する血液検査項目を多変量解析により同定し、そのメカニズムを解明する。さらに腸内環境の指標として重要な糞便中短鎖脂肪酸量のプロファイルを多変量解析することによって身体特性や生活習慣との相関性を見出す。これらにより、アスリートの代謝改善に関わる複数の要因の相互作用を調べることが可能となる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、長距離走選手に対して短鎖脂肪酸検査を行うことによって腸内環境とパフォーマンスとの関連を精査する予定であった。我々は被験者に対してインフォームドコンセントを行った上で検査に協力を依頼した。しかしながら、コロナ禍により当初の予定よりも十分な数の検体が集まっていない。現在、当初の予定よりも少ないデータ数での解析を進めているが、検体数不足による影響は否めない。よって当初の予定よりも進捗はやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
検体数不足による影響は否めないが、既に入手出来たデータの多変量解析を進めている。また、コロナ禍の状況が落ち着いた後には、当初の予定と同じ被験者数になるように実験を勧める予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により、実験場として機器借用等、協力いただいている岩手大学への交通旅費、および実験資材の調達を減らさざる得なかったことが大きい。 これを踏まえ、環境に影響されぬよう今年度購入した実験機器を活用し、次年度は実験が円滑に進むものと思料する。
|
Research Products
(5 results)