2021 Fiscal Year Research-status Report
分子栄養医学に基づいたアスリートに特有な代謝障害の解明
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18K10858
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
羽田 克彦 国士舘大学, 体育学部, 教授 (60506228)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞 / 分子栄養医学 / 炎症 / 短鎖脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、分子栄養医学に基づいてアスリートの代謝上の問題点を抽出し、それを解決することで彼ら特有の内科的疾病予防や競技パフォーマンスの向上に役立てることである。今年度は、昨年度までコロナ禍により実施の困難であった、下記の研究について進展があった。①長距離走の記録に相関する血液検査項目を多変量解析により同定し、そのメカニズムの解明への考察を進めた。我々は、血液検査値から解析対象者の10000m走のタイムを予測する一次式を立て、エリートランナーの10000m走のタイムは白血球数(WBC)、尿素窒素(BUN)、フェリチンの検査値を変数とした一次式と相関することが示された。②腸内環境の指標として重要な糞便中短鎖脂肪酸量のプロファイルを多変量解析することによって身体特性や生活習慣との相関性を検証した。 以上より、アスリートの代謝改善に関わる複数の要因の相互作用についての知見を深めることが可能となった。③オリンピック出場経験のあるトップアスリートに対して分子栄養学的介入を行い、血糖値の時間変動幅の縮小がみられ、それによって集中力向上や練習後の疲労、睡眠状態等の改善につながることを見出した。④カルシウムは分子栄養学的にみて重要なミネラル源であるが、その不足は所謂カルシウムパラドックスを引き起こすことが知られている。我々は、ニューロン内のカルシウム濃度と学習・記憶に関与するシナプス可塑性についての理論的研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、コロナ禍により十分量の検体が集まらなかったことにより、少ないデータ数での解析を余儀なくされた。それにより、進捗の遅延がみられていたが、今年度はある程度のデータ数が集まったことで、血液検査データと糞便中短鎖脂肪酸に関する研究を進めることが出来た。さらに、細胞内カルシウムと神経シナプスについての研究は既に論文として発表することが出来た。よって今年度の進捗は順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究実績欄に記載した①~②の内容について、論文として発表する予定である。 また、③は既に臨床系雑誌に投稿しており、リバイス等をすすめる。 ④については、論文発表している内容をさらに発展させた項目についての検証を進める予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は昨年度に比べて緩和されたとは言え、コロナ禍による研究進捗への影響はあったと言わざるを得ない。とくに被験者データの収集については困難であった。にも関わらず、今年度は単年としては想定以上の研究進捗があったと考える。しかしながら、昨年度の遅延をも挽回するレベルとまでは言えず、未達成の項目(とくにデータ解析及び論文発表)については次年度に引き継ぐこととなった。
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Research Products
(5 results)