2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of Athletes' Metabolic Disorders through Molecular Nutritional Medicine
Project/Area Number |
18K10858
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
羽田 克彦 国士舘大学, 体育学部, 教授 (60506228)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分子栄養学 / 数理モデル / 細胞内カルシウム / 血液検査 / アスリート / 代謝障害 / パフォーマンス / 短鎖脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、生化学データの分子栄養医学的解析、分子生物学実験、数理モデル解析そして統計解析を用いて、アスリートの代謝障害が臨床症状やパフォーマンスに与える影響について解明を進めた。まず、我々はアスリートの代謝障害の主な要因の一つであるカルシウムパラドックスと中枢神経系症状との関連に注目した。なかでも、アスリートの技術習得、運動パターン学習、戦略的思考、ストレス対処法などに影響を及ぼすシナプス可塑性と細胞内カルシウムの関係について数理モデルにより解析した。その結果、カルシウム減衰時定数(ビタミンD、マグネシウム摂取量等と関連)、前シナプス刺激パターン、脳内「ノイズ」が細胞内カルシウムダイナミクスとシナプス可塑性に影響を与えることを明らかにした。次に、我々は高強度の運動により酸素需要が増大する状況において、カテコールアミンの蓄積と分泌に重要な役割を果たす頸動脈小体(CB)の役割に焦点を当てた。特に、CBのグロムス細胞におけるベシクルモノアミン輸送体(VMAT)1と2の発現、およびノルアドレナリンの生合成酵素であるドパミンβ-ヒドロキシラーゼ(DBH)との関連性について調査した。さらに、我々は長距離走の成績に関連する可能性のある血液検査項目を多変量解析により同定し、そのメカニズムの解明に向けた研究を進め、エリートランナーの10000m走のタイムが白血球数(WBC)、尿素窒素(BUN)、フェリチンの検査値を変数とした一次式と相関することを確認した。また、腸内環境の指標として重要な糞便中の短鎖脂肪酸のプロファイルを多変量解析し、身体特性や生活習慣との相関性を確認した。これらの研究結果は、分子栄養医学的な視点からアスリートの代謝障害を評価し、それが競技パフォーマンスや疾病の予防にどのように寄与するかを理解するための重要なステップとなる。
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Research Products
(4 results)