2018 Fiscal Year Research-status Report
疲労骨折の予防を目的としたトレーニングの開発-下肢筋力に着目して-
Project/Area Number |
18K10860
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
桜庭 景植 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 名誉教授 (50175460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 真平 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 博士研究員 (30814529)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 疲労骨折 / 下肢筋力 / 予防 / 長距離選手 |
Outline of Annual Research Achievements |
疲労骨折は、一度発症すると完治までに2-3ヶ月を要するため、スポーツ選手にとっては予防が重要な障害の一つである。これまでに我々は、疲労骨折を発症した選手の膝関節伸展屈曲筋力が低いことを明らかにした。膝関節伸展屈曲筋力が弱いと、骨にかかる衝撃の吸収作用が弱くなってしまう。さらに、骨吸収マーカーであるTRACP-5bが疲労骨折を発症しやすい選手で高いことも明らかにしている。そこで、本研究では膝関節伸展屈曲筋力が高い選手ほどTARCP-5bが低いのではないかとの仮説を立証するため、膝関節伸展屈曲筋筋力と疲労骨折の発症しやすい選手で高いTRACP-5bの関係を明らかにすることを平成30年度の目的とした。 大学女子長距離選手10名(20.2±1.2歳)を対象とし、骨代謝マーカーは、骨形成マーカーとしてTotalP1NP、骨吸収マーカーとしてTRACP-5bを測定した。筋力は膝関節伸展・屈曲筋筋力を短縮性収縮下角速度60・180・300度/秒(CC60・180・300)、伸張性収縮下角速度60・180度/秒(EC60・180)で測定した。また膝関節60度屈曲位での等尺性筋力(IM)を測定し、最大トルク(PT)、最大仕事量(PW)を評価した。 TotalP1NPとTRACP-5bは強い正の相関関係がみられた(r=0.92,p<0.01).膝関節伸展CC60のPWとTotalP1NPおよびTRACP-5bの間に負の相関関係がみられた(それぞれr=-0.82, r=-0.77, p<0.01)。また、膝関節屈曲CC180のPTとTotalP1NPおよびTRACP-5bの間に負の相関関係がみられた(それぞれr=-0.66, r=-0.69, p<0.05)。 これらの結果から、膝関節伸展・屈曲筋筋力が低い選手ほど骨形成および骨吸収マーカーが高く、高回転型の骨代謝動態である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に計画していた、骨代謝マーカー(特にTRACP-5b)と下肢筋力の関係について計画通り実験を進めることができた。さらに、そこから得られた結果は当初の仮説とは少し異なっていたが、新たな発見を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究分担者が研究機関が変更したことにより、平成30年度と同様の被験者を確保することができないことになった。そのため当初、令和元年度に予定していた計画を進めることが困難になることが考えらえる。そこで、研究分担者を追加することで、被験者の確保に関する問題を解決する。さらに、これまでに使用していた測定器も使用することができないため、使用可能な機器を用いて、実験を改めて行う。さらに、平成30年度は女子選手を対象に行ったが、令和元年度は男子選手での実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
採血による検査費が予定していた金額より安かったため、一部次年度使用額が生じた。この額は令和元年の研究時に検査費代として使用する予定である。
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