2018 Fiscal Year Research-status Report
超スマート社会実現に向けた高齢者の骨格筋調整メカニクスの解明
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18K10874
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
佐野 加奈絵 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 講師 (30762273)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 加齢 / アキレス腱 / 筋活動 / 超音波装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
少子高齢化社会の中、健康寿命の延伸が重要な課題の一つである。本研究プロジェクトでは、加齢によって引き起こされるとされる高齢者の神経・筋腱の形態的変化が、走運動やジャンプ運動中の筋腱動態にどのように影響するのか、また高齢者特有といわれている動作の出現機序を明らかにすることを目指す。1年目となる平成30年度は、測定システムの整備と実験環境の確保を行い、普段から運動習慣のある高齢者を対象とした走動作中の下腿の筋腱動態とその動作の測定を実施した。そこでは、超音波装置による腓腹筋筋束とアキレス腱の動態の測定、表面筋電図による筋活動の測定、ハイスピードカメラによる動作測定を行った。また、超音波装置やキャリパーを用いて同一高齢者における下腿部の筋腱の形態測定を行い高齢者の形態データを収集した。これら収集したデータより、高齢者の走運動中のアキレス腱の長さ変化を推定する方法を用いて高齢者の走運動中のアキレス腱動態が若年者とは異なる動態を示す可能性について示すことが出来た。これらで得られた研究成果は、国内の学会(計測自動制御学会ライフエンジニアリング部門シンポジウム,福島県)において、口頭発表と英語によるProceedingsの執筆によって報告した。しかしながら、本務校の変更に伴う実験環境の確保や安全な装置の整備、被験者のリクルートに時間がかかり、計画していた様々なレベルの高齢者を対象とした測定の実施は完了出来なかったため、身体活動レベルの違いによる筋腱動態や形態の違いについては、2年目に実施することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属の変更があり、安全な実験環境やAEDの設置、医師の立ち合いなど、万が一に備えた環境整備に少し時間を要したため。実験環境や測定機器の整備、運動習慣のある高齢者のデータの解析などはすでに終え、次の実験に向けて順調に準備を進めてきており、今後は順調に計画通りに進めることが出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、普段から運動習慣のない高齢者を対象に運動中の筋腱動態の測定を実施していく。同時に、筋腱の形態測定や、高齢者特有の筋動態に関する要因(筋内脂肪など)についても検証する予定で、4月よりそれらの測定の方法論の確立にもチャレンジしている。高齢者でみられた筋腱動態が加齢によるものなのか、それとも、身体活動量の不足に伴う神経や筋萎縮が影響したことによる適応なのか、解明を目指す。
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Causes of Carryover |
高齢者の被験者リクルートに人件費がかからなかった点と、1年目より学会発表が出来るようなデータ収集が出来たことで研究成果報告に係る旅費が予定を上回ることとなった点が、使用計画とは多少異なったことにより次年度使用額が生じた。次年度は、実験環境と設備整備が整ったこと、被験者のリクルートが終えていることを踏まえ、これらの差額と次年度予算より人件費の捻出を行う。
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