2020 Fiscal Year Research-status Report
Studies on heat injury prevention guideline of athletes with spinal cord injury under summer heat environment
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18K10878
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
管原 正志 西九州大学, 健康福祉学部, 教授 (20039564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲木 秀典 西九州大学, 健康福祉学部, 講師 (00783375)
山口 裕嗣 西九州大学, 健康福祉学部, 講師 (00826513)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脊髄損傷健康運動実践者 / 健常者健康運動実践者 / 暑熱環境 / 水分補給率 / 脱水率 / 鼓膜温 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、暑熱適応下(夏季)での運動形態別による活動中の飲水量の実態調査及び体温調節反応についての検討である。被験者は、脊髄損傷運動実践者(車椅子バスケット5名、陸上競技5名、テニス2名、)5名、及び対照者として健常者の運動実践者(陸上競技5名、テニス5名)を計画したが、新型コロナ感染症の流行により、研究対象となっている脊髄損傷者にとって感染のリスクが生じる恐れがあり、屋外運動種目である車椅子テニス2名と健常者テニス2名に限定して、令和2年8月の日中の気温が最高となる時間帯を避けて、3日間、9時より12時の練習時に実施した。測定項目として、1)発汗量は、体重計を用いて練習前と練習後に計測し算出した。2)環境温は練習中30分毎に乾球温度、湿球温度をAugust温度計、黒球温度を黒球温度計で計測してWBGT(湿球黒球温度)を算出した。3)飲水量は飲水用ボトルを用い飲水前後のボトル重量を測定し、脱水率、水分補給率、飲水頻度を算出した。4)鼓膜温は,練習前後に赤外線鼓膜体温計で3回計測し最高値を用いた。5)練習中の心拍数を測定した。 湿球黒球温度は、28℃~30℃と熱中症発生危険度の高い環境温であった。練習時間は、共に約3時間であった。3日間の各測定項目の平均は次の通りである。水分補給率は車椅子テニス60.5%に対し、健常者テニス82.4%、脱水率は車椅子テニス2.1%、健常者テニス1.2%、飲水頻度は時間当たり車椅子テニス2.1回、健常者テニス2.3回であり、車椅子テニスの水分補給が不足していた。練習後の鼓膜温上昇は、車椅子テニスが健常者テニスより高かった。体重減少量と鼓膜温上昇の相関係数は0.855であった。心拍数(拍/分)は車椅子テニス134.8、健常者テニス127.3であった。対象となった車椅子テニス選手は、暑熱環境下での水分補給に対する対応が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度及び令和元年度は、計画通りに研究を進めることができたが、最終年度となった令和2年度については、新型コロナ感染症の流行のため、研究対象の身体障害者の感染リスクを考慮して計画に挙げた全対象者について実施できなかったが、車椅子テニス実践者及び健常者テニス実践者について比較検討することができた。その結果、車椅子テニス実践者の水分補給率が健常者テニス実践者よりも低かったことから、脊髄損傷者の暑熱環境下での水分補給に対する対応が必要であることが指摘でき、研究の目的がおおむね達成されつつあるものの、複数の運動種目の実施が必要であり、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、脊髄損傷健康運動実践者の練習時の水分補給の実態調査を予定されている対象者の感染症予防対策を十分に講じたうえで、更に方法を見直して実施して脊髄損傷運動実践者の熱障害予防の指針を明らかにし、quality of life(QOL)の向上に繋げたい。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症発生による影響で海外での学会発表や国内での学会発表及び海外の共同研究者との意見交換会が中止となったこと、測定補助者の人件費が未支出となったこと、以上により未使用額が発生した。次年度は、調査研究のための物品費と人件費、及び海外研究者との研究交流、国内外の学会発表と出席のための旅費等に充当したい。
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