2018 Fiscal Year Research-status Report
疾患活動性が低いリウマチ患者への機器を活用した自己管理における意思決定支援の手法
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18K10889
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Research Institution | Chiba Prefectural University of Health Sciences |
Principal Investigator |
島田 美恵子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (70413036)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / 体力 / 高齢女性 / 加齢変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:地域在住長期縦断調査において、関節リウマチ(以下RA)を患っていない者とRA患者の、10年間の体力の変化を比較検討した。 方法: 1998年当時70歳であった新潟県在住高齢女性300名について、身体計測、握力、膝伸展力を、10年後の2008年まで毎年調査した。握力は2回計測し、最大値を測定値とした。膝伸展力は、椅坐位で90度に膝を屈曲した状態で足関節とダイナモメータをロードセルで結び、膝関節伸展時の左右脚の和を測定値とした。RA罹患は問診による個人の自己申告で判定した。 結果:10年間で20人の死亡が確認された。RA患者と申告があったのは、10年後も測定を受けた169名中の2名であった。70~80歳までの10年間で対象群の身長は150.0±4.7cmから 147.8±5.8 cmへの変化に対し、RA患者は155.0cmから152.2cm、151.6cmから 151.6cmの変化であった。体重は、対象群が50.9±7.9kg から48.3±7.7kgの変化に対し、RA患者は49.5㎏から37.0㎏、45.2kgから35.2kgの変化であった。握力は対象群が24.6±3.8㎏から21.0±4.1kgで変化に対し、RA患者は、1人が80歳時に11.0kg、もう1人は21.5kg から17.0kgへの変化であった。膝伸展力は、対象群が0.86±0.35 kg/weight kgから,0.43±0.13kg/weight kgの変化に対し、RA患者は1人が70歳時に 1.05 kg/ weight kgであり、80歳時に2人とも測定できなかった。 考察:RA患者はRAを患っていない高齢女性と比較し、著しい体力の低下が認められた。高齢期における生活機能の自立には体力の保持・増進への支援が重要である。RA患者に特化した身体活動へのアプローチが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
関節リウマチ患者と関節リウマチを患っていない者の2群を対象に介入研究を実施する研究計画であったが、今年度は、評価指標の再検討とリウマチ患者の病状の選定に文献検索等の時間を費やし、介入を実施できなかった。 過去の調査データから関節リウマチ患者のデータを抽出し、経年変化をまとめてBritish Society of Rheumatology Annual Meetingに演題申請したが、採択されなかった。 関節リウマチ患者への運動療法を文献検索し、Reviewとしてまとめているが、2018年度中に投稿することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
日本リウマチ友の会千葉県支部に依頼し、コンプライアンス良好なリウマチ女性患者20名を10名ずつ2期に分けて募集する。リウマチ患者決定後、年齢が同等な健常女性を同じく10名ずつ2回、学内および近隣住民に募る。測定項目:①身体計測(関節可動域 腹部脂肪量含む)、②血液生化学検査(リウマチ因子含む:CRP RF MMP-3 血沈など)、③疾患活動性評価、④食物摂取頻度調査、⑤睡眠評価アンケート、⑥2週間の活動量計装着による生活時間・睡眠状況調査(SleepSign Act(キッセイコムテック株式会社 長野)ライフコーダGs(スズケン 名古屋)アクチグラフGT3X-BTmonitor(アクチ・ジャパン株式会社 千葉))⑦体力(長座体前屈 握力 膝伸展力)。 調査期間:健康調査を初回、介入期間中の3か月後と6か月後、健康機器貸与のみで6か月を経た初回調査1年後の計4回をクロスオーバー法で2クール実施する(2クール目新規募集)。 介入プロトコール:リウマチ患者教室と健常者教室をさらに群別し、前半または後半に分けて3カ月介入する6カ月のプログラムを実施する。介入3カ月は、生活活動を数値化できる健康機器を睡眠時も装着させ、隔週でリウマチ,健常者別に60分間の健康教室を開講し(下表)、日常生活活動場面に応じた部位別筋力トレーニングとストレッチを教授するとともに毎回長座体前屈、筋力を測定する。雑巾を絞る、階段を1段ぬかしで上がるなど、それぞれの動作遂行の可否と筋力との関係を調べつつ、トレーニング手段として日常生活活動を活用する。教室では2週間ごとに測定した結果を返却し、グループワークにより生活を振り返る。RA患者と健常者別、介入の有無別に筋力の変化、睡眠状況・病状の変化を比較検討する。
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Causes of Carryover |
2018年度実施予定であった介入研究を、2019年度に延期したため、人件費・被験者への謝礼が繰り越しとなった。また、2019年度は、2018年度に検討した身体活動量計を購入する予定である。
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