2020 Fiscal Year Research-status Report
褐色脂肪不活性による安静時代謝低下は骨格筋の食事誘発性熱産生亢進で補えるか
Project/Area Number |
18K10902
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
笹原 千穂子 (上田千穂子) 明星大学, 教育学部, 教授 (20459944)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 安静時代謝 / 食事誘発性熱産生 / 骨格筋量 / 褐色脂肪 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの褐色脂肪組織は新生児に多く,加齢に伴い減少する.近年,成人において褐色脂肪組織量に個人差がみられることが明らかとなり,メタボリックシンドロームとの関係性も示唆されている.本研究では褐色脂肪組織量減少と骨格筋量減少の両者により全身の食事誘発性熱産生(以下DIT)が減少するために,肥満が助長されるのではないかという仮説を検証し,褐色脂肪組織量が減少していても骨格筋のDITを増加させることで安静時エネルギー消費量の低下を抑制し,肥満を予防できる可能性について明らかにすることを目的とした. これまでに「褐色脂肪組織量の個人差と骨格筋DITおよび全身DITとの関連性の解明」を行うため,生活習慣病などの既往歴のない健康な大学生を対象とし,実験を行った.褐色脂肪組織は,時間分解近赤外分光装置(浜松ホトニクス製TRS-20,以下NIRTRS)を用いて安静室温環境下で鎖骨上窩の吸収係数(μa),μs’,光路長,酸素化ヘモグロビン(以下Hb),脱酸素化Hb,総-Hbを測定した.骨格筋DITは,近赤外連続光分光装置(浜松ホトニクス製 NIRO-200,以下NIRCWS)を用いて,前腕屈筋群にNIRCWSのプローブを,上腕部に加圧帯を装着し,一時的動脈血遮断法(Hamaoka et al.1996)にて行った.安静時および実験食摂取後の筋酸素消費量を測定し,両者の差から骨格筋DITを算出した.全身DITは,呼気ガス分析装置にて安静時と実験食摂取後の酸素摂取量,呼吸交換比を測定し,全身DITとエネルギー基質割合を求めた.食事前後の血液検査は,安静時および実験食摂取後(1時間,2時間後)に指先より微量採血し,小型迅速生化学測定装置にて,血糖値と血中中性脂肪濃度を測定した.実験の結果,褐色脂肪組織量は個人差が大きく,若年成人でも減少している被験者がおり,骨格筋DITとの相関を検討中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で,学内外での実験が実施できなかったことが主な原因である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は学内で実施可能な実験を行い,学外の実験については実施が難しい場合は,代替えの測定項目で代謝の変化を測定する予定である.
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Causes of Carryover |
本年度,実験や学会発表が予定通り実施できなかったため,次年度に使用予定である.
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