2020 Fiscal Year Research-status Report
運動部活動における外部指導員制度の普及に向けた諸条件の検討
Project/Area Number |
18K10903
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
作野 誠一 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (60336964)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 運動部活動 / 外部指導者 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度(2019年度)は、総合型クラブと部活動の関係構築について事例をもとに考察し、関係づくりの方法と課題を仮説的に明らかにした。具体的には、文献・資料分析およびインタビューによって、4つの総合型地域スポーツクラブについて調査を行い、部活動とクラブの連携をめぐる問題点として、クラブ会費徴収に対する理解、施設利用に際してのクラブと学校との調整、クラブの指導者として 関わる教員と関わらない教員間の軋轢、校区を越えて機能するクラブ(部がない近隣校の受け皿)、部活動と地域のクラブに理解のある教員の存在によってのみ 関係が作られる、教員の指導報酬に対する社会的理解の必要性、多種目(他種目)への拡大展開の困難さといったことを指摘した。さらにクラブの範域とキーパーソンの違いによる分類から、これらタイプ別にみた関係づくりの方法と課題についても検討し、①教員の関与が成否のカギを握る、②管理職の意向が代々異なる場合、連携の継続性は担保されなくなる、③教員をクラブの指導者とするにあたっては労務上の問題が予想される、④既存の部 活動種目の支援・補完ではないクラブ活動も広義の連携ではないか、⑤キーパーソンが非教員の場合でも、教員との関係構築は不可欠である、⑥部活動の支援に あたっては、クラブの範域の違いが関係性の違いをもたらす可能性があるといった知見を得た。 2020年度は、こうしたケース分析の知見(いわば仮説)が対象を広げた場合にも妥当であるかを検証する予定であったが、新型コロナの影響により体系的な実証データの収集が困難となった。そこで、さまざまな問題を背景に策定された「運動部活動ガイドライン」が適用された学校を対象として運動部活動をめぐる状況について知見を得た。これらの結果の一部については、日本体育・スポーツ経営学会第44回大会において、共同研究者として発表している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、2020年度はより幅広い対象について調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により実施できなかった。そのために来年度(2021年度)に持ち越して調査を実施する。緊急事態宣言下で今年度の研究計画の遂行も困難が予想されるが、オンラインを利用するなど可能な範囲で研究計画を変更し、状況に応じた柔軟かつ適切な対応を心がけつつ研究目的の達成を図りたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、当初の研究計画はかなりの変更を余儀なくされているが、可能な範囲で柔軟な計画の変更を行い、当初の目的達成に近づけられるよう対処したい。研究成果については、学会等において結果の公表 に臨むとともに、まとめにあたっては、本研究の研究成果は、日本体育・スポーツ・健康学会、日本体育・スポーツ経営学会等の学会大会において発表する。また同学会誌への論文投稿も視野に入れている。さらに、本申請者は地域スポーツ関係者、スポーツ行政関係者を対象とした研修会・講演等の講師を務める機会が多いことから、このような啓発の場を通じて、現場に対しても積極的な情報提供とフィードバックを行いたい。
|
Causes of Carryover |
予定していた調査研究が新型コロナウイルス感染症の拡大により実施できなかったため、研究費用の一部を次年度に持ち越すこととなった。研究予定でも述べたとおり、できるだけ早期にこの補完的調査を行い一連の研究のまとめを行いたい。
|