2019 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋を形作る筋芽細胞融合の制御機構におけるSTAT6分子の役割に関する研究
Project/Area Number |
18K10904
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
黒坂 光寿 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (40553970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 裕司 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (90509952)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 筋芽細胞 / 細胞融合 / STAT6 / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の目的は、STAT6が、2つの筋芽細胞の融合様式、1)筋芽細胞同士の融合(一次融合)、2)筋芽細胞が筋管細胞に融合する(二次融合)、のどちらに関与しているかを培養実験で明らかにすることであった。さらに、生体内での筋芽細胞におけるSTAT6の役割を明らかにするために、STAT6欠損マウスを用いてその筋肉の表現型を評価することであった。まず、mTFP1(青緑色)を発現するWild type(WT)の筋芽細胞、RFP(赤色)を発現するSTAT6を高発現する筋芽細胞およびRFP を発現するWT(コントロール)の筋芽細胞を作成した。一次融合を評価するために、mTFP1を発現するWTの筋芽細胞とRFPの筋芽細胞(WTもしくはSTAT6が高発現する細胞)を同じ密度になるようにそれぞれの細胞を同じディッシュに播種し、48時間分化培地で培養した。その結果、STAT6を高発現する筋芽細胞では、コントロールと比較して一次融合が有意に阻害された。次に、二次融合を評価するためにmTFP1を発現するWTの筋芽細胞を播種し、48時間分化合培地で培養し筋管細胞を形成させた。その後、その形成された筋管細胞中にRFRを発現する筋芽細胞(コントロールもしくはSTAT6が高発現する細胞)を播種し、48時間分化培地で培養した。その結果、STAT6を高発現する筋芽細胞では、コントロールと比較して二次融合が有意に阻害された。したがって、STAT6は一次および二次融合の両方に関与していることが示唆された。次に、10週齢の雄性のSTAT6欠損マウス(n=6)およびWT(コントロール)マウス(n=6)の筋力、筋持久力をおよび筋断面積の大きさを評価した。その結果、筋力、筋持久力および筋断面積の大きさの全ての項目で、STAT6欠損マウスおよびコントロールマウスの間に有意な差がなかった。したがって、STAT6は筋肉の発生およびその後の筋肉の成長には関与していない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、STAT6と2つの筋芽細胞の融合様式との関係を明らかにすることができた。また、STAT6欠損マウスを導入し、生体内におけるSTAT6の筋芽細胞における役割に着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、生体内の筋芽細胞融合におけるSTAT6の役割をさらに明らかにするために、筋損傷・再生モデルを用いてSTAT6欠損マウスで検討する予定である。また、STAT6は転写因子であることから、筋芽細胞融合に関連する標的遺伝子を探索する予定である。
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Causes of Carryover |
参加予定であった学会大会が新型コロナウィルスの影響で紙上開催になったため次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額は、細胞培養関係の試薬の購入に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)