2019 Fiscal Year Research-status Report
女性のスポーツ傷害発症リスクの基礎的研究ー鍼刺激による内在性ホルモンの適正化ー
Project/Area Number |
18K10911
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Research Institution | Kansai University of Health Sciences |
Principal Investigator |
山口 由美子 関西医療大学, 保健医療学部, 講師 (00454661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 俊治 関西医療大学, 保健医療学部, 准教授 (50275351)
深澤 洋滋 関西医療大学, 保健医療学部, 准教授 (70336882)
畑村 育次 関西医療大学, 保健医療学部, 教授 (80336883)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スポーツ傷害 / 女性ホルモン / 鍼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究代表者が昨年度より継続して出産及び育児休業期間であった為、分担研究者による一部の検討のみを実施した。 (1)鍼刺激による女性ホルモン変動の検討 昨年度からの継続で検討を行った。マウスの系統や実験条件を変えた3シリーズの予備実験の結果、女性ホルモン、特にエストロゲンの血中濃度は、下肢への鍼刺激によって有意に上昇することが確認された。その上昇効果は対象マウスの生理周期上の時期によって大きく変わることも判った。そこで薬剤による対象マウスの性周期の同調も試みたが、個体によるバラツキが大きくそれよりも実験個体数を増やし、その都度個々の個体の生理周期をチェックして同じ周期のものを使用する方が効率が良いことも判り、実験法を決定することができた。この方式に従って、本実験を行った結果、予備実験での結果を確かめることが出来た。また下肢への鍼刺激の効果は、エストロゲンに特異的で、調べた他のホルモンへの影響は確認されなかった。また同時に血中IL1βを確認したところ、有意な上昇は認められず下肢への鍼刺激の効果は、炎症反応を介したものではないという示唆を得た。 (2)運動器組織への組織学的検討 研究代表者が担当する予定であった腱・靱帯の分析は前述の通り保留中であるが、予備的に筋肉組織への鍼刺激の効果について検討した。前項に示した実験と同様に下肢への鍼刺激を行い、筋組織を主に下肢・腓腹筋から採取して組織学的・分子生物学的変動を調べる実験を、条件を変えて2シリーズ実施した。効果は運動負荷に対する反応を見る形式、すなわち運動負荷に対してどのくらい筋量が増すかと筋肉中のミトコンドリア量がどのくらい変動するかに着目して測定を試みた。筋量の増加は、筋繊維径や筋重量の変化及び胎児型ミオシンmRNA量の測定で行ったが、今年度のシリーズでは安定した結果は得られなかったので、現在実験条件の変更を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が妊娠・出産し、平成30年12月~令和2年1月までの産前産後・育児休業の予定で研究が中断していたが、令和2年2月以降も復帰の条件が整わず育児休業期間が継続している。研究代表者が当該時期に実施する予定であった研究が中断しているが、分担研究者による実験はほぼ予定通り実施されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、主に以下の二つの実験を計画している。研究代表者は6月末まで育児休業中であるので、ます分担研究者らによる予備的な検討を行い研究代表者の復職後に本格的な実験を予定している。 (1)鍼刺激による血中エストロゲン濃度の変動はある程度再現性の得られる条件が確定したので、本年度は鍼刺激の部位特異性について検討を予定している。具体的にはこれまでの実験で用いた下肢への刺激に替わり、体幹背面部、下肢の別部位への鍼刺激によっても同様に変動が見られるのか、それとも部位特異性があるのかについての検討、他のホルモンの変動の有無の確認などを予定している。 (2)女性ホルモンによる運動器への影響についても、本年度は検討の予定である。筋肉に対しては女性ホルモン投与による運動負荷への組織学的応答および筋力変化に着目して測定を行う。また腱・靱帯は組織学的変化と強度の変化を測定の予定である。強度の変化については、先行研究があまりないことから、単離したマウス組織を用いて、いくつかの測定装置を比較検討することを検討中である。
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Causes of Carryover |
研究代表者が妊娠・出産し、産前産後・育児休業に入っているために、研究代表者が当該時期に実施する予定であった研究が中断している。この中断した研究の経費を次年度に繰り越したい。研究代表者の育児休業復帰後、中断していたホルモン投与による組織変化の検討など本格的な検討を行う予定である。具体的には初年度に予定していた、マウスへの女性ホルモン投与による運動器強度の変化を、組織学的に検討する。繰り越した経費は主に実験用マウスの購入・維持飼育の経費、及び刺激のための試薬購入、組織学的分析用の試薬、外部委託する分析のための経費などに使用する。
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