2019 Fiscal Year Research-status Report
食物アレルギーの予防・寛解ツールとしての運動の効果とそのメカニズムの解明
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18K10913
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Research Institution | Kurashiki University of Science and the Arts |
Principal Investigator |
椎葉 大輔 倉敷芸術科学大学, 生命科学部, 准教授 (20515233)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 運動 / 食物アレルギー / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度はBALB/cマウスを用いて、マウス自発運動が経皮感作性食物アレルギーに及ぼす影響について,全身性アレルギー症状を指標として検討した。運動はマウスの飼育ケージ内にワイヤレスランニングホイールを設置し実施させた。その際,マウス自発運動量(ランニングホイール回転数)を合わせて測定した。感作するアレルゲンには 鶏卵白由来アルブミン(OVA)を採用した。OVA経皮感作は先行研究を元に剃毛した背部に4%SDS溶液を塗布して皮膚バリアを脆弱にさせたのち,OVA溶液を塗布して成立させた。4%SDS溶液/OVA溶液の塗布は3回/週行い,2週間または3週間実施した。最終感作後,血中OVA特異的抗体(OVA-IgE/IgG1)を測定したのち,全身性アレルギーを誘導し,運動の効果について評価した。実験の結果,全てのマウスにおいて,血清中OVA-IgEおよびOVA-IgG1の上昇が確認された。一方,これら抗体産生に対して運動の抑制的効果は観察されず,3週間感作群においては非運動群と比較して,むしろ血清中OVA-IgEおよびOVA-IgG1濃度が高値を示した。さらにこれらのマウスに全身性アレルギー症状を誘導したところ,血中抗体濃度と同様,運動群においてアレルギー症状が強く発現する傾向が観察された。経皮感作の成立には循環血中に存在する免疫細胞,特に好塩基球の皮膚組織への浸潤が関与することが知られており,昨年度の成果から本研究においても感作時に皮膚組織へ浸潤していると考えられる。このことから,次年度はこれら現象の再現性を確認するとともに,血流再配分など運動時生体応答の影響などについて,検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定通り,経皮感作モデルを用いてのin vivoでの検討を進め,結果が得られている。一方で,仮説と異なる結果も出てきていることから,再現性の評価とともに,そのメカニズムについて検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
経皮感作モデルを用いての検討を継続して行うとともに,阻害剤や細胞除去モデルを用いて検討を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は2020年度実施予定だった実験の一部に着手できたことから,予算を前倒し請求して使用した。その中で,本年度中に完了が厳しいと考えられた実験分の試薬購入を見送った為,次年度使用分が発生した。この次年度使用分は使用目的に変更なく,2020年度に用いる予定である。
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