2019 Fiscal Year Research-status Report
野球投手における投球動作の反復が身体の筋硬度に及ぼす影響
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18K10915
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
長谷川 伸 九州共立大学, スポーツ科学部, 教授 (70350444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船津 京太郎 九州共立大学, スポーツ科学部, 教授 (10259658)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 筋硬度 / ピッチング / 超音波法 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は投球パフォーマンスに影響を及ぼす筋の特定を行うため、肩関節回旋可動域と投球速度の関係について、大学野球投手24名を対象とした調査を行い、肩関節外旋可動域、および総回旋可動域(外旋+内旋)が投球速度と正の相関を示すことを報告した(日本体育学会第70回大会)。本研究の結果は関節可動域が大きいことが高い投球パフォーマンスにつながる可能性を示唆するものであった。 試合で多くの投球を行ったあと、練習で投げ込みを行ったあとに、関節周りの筋に感じられるこわばりや硬さを定量化し、筋別の程度や回復時間を明らかにするため、上肢、体幹における10種類の筋を対象に投球前後の筋硬度の比較を行った。 一般大学生(n=5)を対象として、15球×7セット=105球の投球を行わせて、筋硬度の測定を行った。対象は上肢(橈側手根屈筋、円回内筋、尺側手根屈筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、棘上筋、棘下筋)、体幹(大胸筋、広背筋、僧帽筋)であり、測定には超音波診断装置のプローブの内部ケースと外部ケースの間に力量計を装着した身体組成専用超音波画像装置(ビューズアイ、酒井医療機器)を使用した。皮膚表面にプローブを押し当て、0gfから1500gfまで圧迫を加えた際の、500gf、1000gf、1500gfの3段階の超音波画像を撮影し、それぞれの圧迫時の筋厚を測定した。その後、プローブの圧迫力と筋厚の回帰式を求め、得られた回帰式の勾配より筋硬度指数(荷重あたりの筋厚の変化量)として算出し、投球前と投球後、24時間後、48時間後の値を比較した。その結果、棘上筋では24時間後、48時間後に投球前に対する筋硬度の増加が示された(投球動作の反復が体幹と上肢の筋硬度に及ぼす影響、九州共立大学研究紀要)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
筋硬度の測定に用いるプロトコールの作成、野球経験のある一般大学生を対象とした測定の実施まで準備を進めてきた。一般大学生に続き、2019年秋には大学野球投手を対象とした同様の研究を行う予定であったが、日程調整が難航し実現に至らなかった。さらに春季休業中は新型コロナウイルス感染症の影響により、課外活動の禁止、学内への立入禁止のため、現在まで野球投手を対象とした測定を行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
一般大学生を対象とした研究に関する論文を作成する中で、今後の課題として①全力投球をいかに維持させるか、②筋硬度の測定部位の工夫、③プローブによる加圧の仕方についての工夫が挙げられる。一般大学生を対象とした研究では、対象者の自覚症状に対して、測定された筋硬度には大きな変化が見られなかったことから、鍼灸師、アスレティックトレーナー等の助言を得て、投球後に筋に張りが出やすい部分を反映する新たな撮像部位を決定した。また、荷重の加え方についても先行研究に基づく変更を行った。今後、学内への立入、課外活動の許可を待ち、夏季休業までには大学生投手を対象とした測定を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
大学生野球投手を対象に予定していた測定が日程の問題で実施できなくなったことから、測定後の解析に使用する予定であったPCならびにソフトウエアの購入を行わなかったため。
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Research Products
(2 results)