2019 Fiscal Year Research-status Report
スプリントパフォーマンスの向上を引き起こす人工的な体性感覚技術の開発
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18K10916
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Research Institution | Sagami Women's Junior College |
Principal Investigator |
笹田 周作 相模女子大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (80624824)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中枢性疲労 / サイクリングパワー / 反射 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)高強度の連発電気刺激がスプリントパフォーマンスへ及ぼす影響:被験者3名を対象に、前脛骨筋の運動閾値に対して~0.8-1.0倍の刺激強度による連発電気刺激を用いて、その刺激による体性感覚情報がプリントパフォーマンスに与える影響を検討した。被験者は1回の実験で10秒間の全力スプリントサイクリングを30秒間の休息を挟んで3試行行った。サイクリングの負荷は0.02kp/kg of body weightとした。電気刺激の頻度は100Hzとし、両側の総腓骨神経に対し各サイクリングの開始3秒前からサイクリング終了まで電気刺激を与えた。各被験者は刺激無し実験、有り実験を1週間のインターバルを挟んで行った。その結果、何れの被験者においても連発電気刺激によりスプリントサイクリング中の最大パワー及び平均パワーが低下した。 2) 低強度連発電気刺激サイクリングのトレーニング効果: 4名の被験者を対象に、1)と同様の検討を、前脛骨筋の運動閾値に対して~0.6-0.7倍の刺激強度にて行った。その結果、3/4名の被験者において平均パワーの増大が生じた。 3)脊髄への直流電流刺激(tsDCS)による総腓骨神経刺激―膝関節伸展筋群促通効果の修飾:6名の被験者を対象とし、総腓骨神経刺激に膝関節伸展筋群で生じる促通効果がtsDCSにより修飾を受けるか否かについて検討を行った。被験者はtsDCS前後で自転車サイクリング運動を行った。サイクリング中に、総腓骨神経刺激により生じる運動誘発電位を測定した。tsDCSにより、6名全員で運動誘発電位の増大が生じた。 以上の検証より、総腓骨神経の連発電気刺激はその刺激強度依存的にスプリントサイクリングパフォーマンスを修飾出来る可能性が明らかとなった。また、この体性感覚入力は、tsDCSで更に増強できる可能性があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度の当初計画は人工体性感覚と脊髄直流電流刺激の組み合わせ効果の検討を行うことであった。昨年度検討を行った足底部への電気刺激では、サイクリングパフォーマンスを修飾出来るが、直流電気刺激との相互作用が得られなかったため、本年度は新たな刺激部位を検討した。その結果、パフォーマンス及び直流電気刺激との相互作用が得られる可能性のある有望な体性感覚入力方法を理解しつつある。一方で、新型コロナ感染症の影響で十分な実験数を確保できなかったため、被験者数が少なく、統計上十分な量のデータが得られていない。従って、これらの点を踏まえると、「やや遅れている」と評価するのが妥当であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
アスリートの潜在的なパフォーマンスを引き出す人工的な体性感覚入力の開発を行うためには、本年度で得られた成果を統計的に証明する必要がある。従って、十分な量の実験数及びデータ量の確保が必要不可欠である。本年度で、実験数が不足した理由は新型コロナ感染症が原因であるため、実験を安全に行うための感染症対策を徹底し、早急に実験できる環境の構築に取り組む予定である。また、対面での実験環境が整い次第、実験を素早く再開できるよう、被験者の確保に努めたい。
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Causes of Carryover |
本研究課題で得られた成果について、2019年12月に論文として受理された。この研究成果を社会へ発信するため、論文の別刷りを同年12月に雑誌社へ依頼したが、先方の処理が遅れ、年度内の支払いが完了しなかった。そのため、別刷り用の費用が差額として生じた。 この別刷りについて2020年5月に請求があり、差額分について別刷り費用に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)