2020 Fiscal Year Research-status Report
体育の効果的な学習指導に関する実証的研究―経年的な学習成果のデータに基づいて―
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18K10920
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鬼澤 陽子 群馬大学, 教育学部, 准教授 (80511732)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 体育授業 / 経年的 / ゲームパフォーマンス / 認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、小学校・中学校におけるボールゲーム領域の「ゴール型」を取り上げ、学習指導要領に記載された学習内容を習得させることを意図した体育の授業づくりを通して小学校入学時から中学校3年間の計9年間にわたり、総合的に学習成果を検証することを目的としている。本研究は平成26年度小学校に入学した児童を対象に、研究1年目(平成30年度)は小学校5年生を対象に、研究2年目(令和元年度)は小学校6年生を対象に8時間のバスケットボール単元を3クラスそれぞれに実践した。そして、研究の対象となる児童全員が同一の中学校に進学することから、令和2年度以降は中学校での研究を進めることになる。 研究3年目(令和2年度)は、まず、授業を担当する保健体育の教員らとの打ち合わせを行った。具体的には、これまでの小学校6年間の授業内容について映像を用いながら説明し、これまでの研究内容についての共通理解を図るとともに、中学校1年生での授業内容については実技を交えながら確認・検討を行った。単元中については、毎授業後に授業者と話し合いをもち、子どもの様子や子どもの動きに対するつまずきへの対応のしかたなどを確認した。その上で、中学校1年生を対象に8時間のバスケットボール単元を4クラスそれぞれに実践した。なお、小学校では3クラスだったのに対して、中学校では4クラスを対象にしたのは、1クラス分は他の小学校からの入学者であったためである。 また、研究2年目に実施した小学校6年生3クラスを対象に実施した授業に関わる分析を進めた。これは、2019年2月~2019年8月まで産前産後の休暇、育児休業の取得に伴って研究中断したためである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究3年目(令和2年度)は、新型コロナウィルスの影響によって、学校は令和元年3月2日から臨時休校になり、その後も地域の感染状況を踏まえ、基本的な感染症対策を徹底しながらの学校生活となった(現在もその状況が続いている)。そのような中でも、学校長をはじめ、教職員の先生方、保護者、生徒のみなさんから本研究協力についての承諾をいただき、継続することができた。研究計画当初より授業実施時期を遅らせることになったが、中学校1年生4クラスを対象にバスケットボールの介入実験授業を実施した。メインゲームは、オールコート3対2から2対1(ドリブルあり)とし、素早いトランジションから速攻を出して、ノーマークでシュートすることをねらいとした。1授業の流れは、技能習得のための「ドリルゲーム」と戦術的課題を解決するための「タスクゲーム」、そしてこれらを総合的に発揮する「メインゲーム」で構成した。なお、中学校1年生から新たに入学した生徒もいたことから、単元序盤は小学校での学習の復習を含めた内容構成にした。 学習成果を検討するにあたり、「認知的側面」として「ボール保持者の状況判断テスト」と、「パフォーマンス側面」として「パフォーマンステスト」を単元前後に実施した。新型コロナウィルスの影響によって授業の実施時期の遅れ等により、授業分析の一部を来年度(2021年度)に持ち越すことになった。 これら全体を通してみると、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究4年目(令和3年度)についても新型コロナウィルスの影響が懸念される。介入実験授業ができるかどうか、現時点では見通しが立たない状況にある。 そのような中ではあるが、研究4年目(令和3年度)は、①研究3年目に行った介入実験授業の分析の続きを行うことと、②中学校2年生4クラスを対象にバスケットボール単元の介入実験授業を行う。学習成果を検証するにあたり、単元前後に「認知テスト」および「パフォーマンステスト」を位置づけ、「認知的側面」と「パフォーマンス側面」の両面から検討する。その後、③授業分析を進める。 そして、研究5年目(令和4年度)は、選択制授業となる中学校3年生を対象に対して介入実験授業を実施するとともに、単元前後に「認知テスト」および「パフォーマンステスト」を位置づけ、中学校卒業段階における学習成果を検討する。研究6年目(令和5年度)は、平成26年度に入学した小学校1年生から、令和4年度に卒業する中学校3年生までの計9年間にわたり、同じ児童・生徒を対象に「わかる」と「できる」という認知的、技能的成果の考え方に基づいて、総合的に学習成果を検証していきたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたものの、研究内容が変更になるものではないため、研究の目的は達成できると考えられる。 研究3年目(令和2年度)は、新型コロナウィルスの影響によって、研究当初の予定より授業実施時期を遅らせての介入実験授業となった。それに伴い、授業分析の一部を令和3年度に繰り越すことになった。これにより、次年度使用額の変更が生じたが、研究内容の変更ではないため、研究の目的は十分に達成できるものと考えられる。
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