2021 Fiscal Year Research-status Report
大学生において体力は精神的健康度の予測因子となり得るか?:4年間にわたる縦断研究
Project/Area Number |
18K10931
|
Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
中原・権藤 雄一 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (60573764)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 憲治 山口県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (90718909)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 大学生 / 体力 / 精神的健康度 / 身体活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神的健康の悪化は、大学生において重要な健康問題の1つであり、特にこのコロナ禍においては顕著である。精神的健康の維持・改善において、運動の実施が効果的であることは多くの研究で明らかにされつつあり、我々も大学生を対象に、運動が精神的健康の維持・改善に寄与することを報告している。しかし、主体的に運動を行うためには最低限の体力が必要であり、体力がなければ運動を行う意思を持つことさえ困難であると推察される。そこで本研究課題では、大学生の4年間にわたる精神的健康度の変化に着目し、体力レベルによって精神的健康度が予測可能かどうか検討することを目的とした。 本年度は、年度末に大学4年生と3年生を対象に、質問紙にて精神的健康度(POMS2、CES-D、SOC)と身体活動量(IPAQ-short version)について、これまでと同様の調査を行った。4年生については追跡調査の最終年であったことから、大学1年時に実施した文科省の新体力テストの結果をもとに、体力レベルを高体力群と低体力群の2群に分け、精神的健康度の変化について検討した。その結果、POMS2において入学直後の各指標には、いずれも有意な群間差はなかったが、追跡調査の結果、「怒り-敵意」、「抑うつ-落込み」、「総気分得点」において交互作用が認められた。単純主効果検定の結果、入学時から大学4年時にかけて、低体力群のみ「怒り-敵意」が有意に上昇(悪化)した一方で、高体力群のみ「抑うつ-落込み」が有意に低下(改善)した。また、大学4年時の比較において、低体力群の「怒り-敵意」と「総気分得点」は、高体力群に比べて有意に高値(不良)であった。 今後、本年度末に調査した大学3年生においても引き続き調査協力を行い、被験者数をさらに増やした上で、大学4年間にわたる精神的健康度の変化について体力が予測因子となり得るかどうかについて検討をしていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きく、当初予定していた被験者数が確保できなかったが、新しく対象者を広げたことで改善がみられたことや、当初予定になかったコロナ禍を考慮に入れた検討も実施できたことから、おおむね順調と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は、同一被験者を4年間追跡していく必要があるが、当初予定した被験者は4年間の追跡が終了したことから、4年間の結果について詳細な検討を行う。さらに、新しく組み入れた被験者が次年度4年目を迎えることから、引き続き調査・測定を行い、最終的に両者の結果をまとめ、被験者数を確保した上で、総合的に検討を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
参加予定であった学会がコロナ禍に伴い全てweb開催になったことにより、旅費充当分の繰り越しが生じた。また、想定していた被験者数より少なかったことに伴い、被験者や研究協力者へ支払う人件費・謝金も少なかったため、繰り越しが生じた。 本年度は、コロナ禍に伴い必要となった調査・測定に伴う備品の購入他、今年度開催予定の学会参加に伴う経費や論文執筆経費などに充当する予定である。
|