2018 Fiscal Year Research-status Report
The effects of depressed mood status on visual sensory input and motor control
Project/Area Number |
18K10932
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Research Institution | Jobu University |
Principal Investigator |
竹内 成生 上武大学, ビジネス情報学部, 准教授 (10329162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井田 博史 上武大学, ビジネス情報学部, 准教授 (20392194)
関口 浩文 上武大学, ビジネス情報学部, 教授 (20392201)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 抑鬱 / 網膜電位 / 事象関連電位 / 経頭蓋刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は人間の高次行動である『予測-遂行-評価』に基づく高次脳機能連携について知覚入力と運動出力の関係性に着目し,健常者を対象とした抑鬱状態による変化から,その因果性を明らかにすることである.研究手法の特色として,本研究では健常者を対象とした視覚刺激呈示下での経頭蓋刺激(transcranial magnetic stimulation; TMS) をおこない,抑鬱程度による知覚入力と運動出力と遂行結果の様相から,高次脳機能連携の因果性の解明を目指す点である. 平成30年度の研究実績概要は,当初の実施計画に従い,倫理申請,実験環境の構築と動作検証,被験者のスクリーニング,ならびに第一実験の予備検討を進めた.今後の研究遂行に大きく影響を与えることから,実験環境の構築に十分な検証を優先することとした.具体的には選定機器の一部調整,これに伴う記録制御と各機器間での動作検証を第一実験の環境状況を構築した予備検討として実施した.またスクリーニングでは先行研究,および申請者の研究結果に準じて自己抑うつ尺度(self-depression scale; SDS)を用いた.スクリーニング対象者は大学生とし,スクリーニングの総回答数は180件であった.このうち,回答の不備や重複者等を除外した有効回答数は174件(ERG実験参加希望者:25名,非参加希望者:149名)であった.スクリーニングの結果,SDS平均点は40.44(SD±0.74)であった.また,実験参加の可否による被験者の等質性を確認するために群間差を検討したところ,両群間に差異は認められなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は研究遂行に伴う環境整備を最優先事項とした.当該年度においては倫理申請,機器の選定,および測定機器によるデータ取得検証,ならびに刺激呈示制御の環境構築と動作検証(機器間制御とその遅延)を実施した.倫理申請は当初の予定通り承認された.一方で,機器選定には一部付随機器の再選定が必要となり,その変更と環境構築には予定していた以上の時間を必要とした.しかし,当該年度内において研究遂行に必要十分な精度での制御を可能とする環境を構築することができた.当初予定していた課題進捗状況に若干の遅れが生じたものの,当該年度の遂行状況としては想定の範囲内である. 上記の状況下,並行して被験者の等質性を確認するために学生を対象としたスクリーニングを実施した.上述の研究実績の概要において報告したが,複数回にわたってスクリーニングを実施し,総数180名を対象としたスクリーニング結果を得た.実験参加の可否による対象者(計174名)の差異検討では,等分散性が示されたため被験者間t検定を実施した結果,両群間に差異は認められなかった(t(172)=0.28, n.s.).なお,両群のスクリーニング参加学生の平均点はいずれも40点前半(不参加:40.50(95%CI±0.12),参加:40.08(95%CI±0.34))であり,判定基準上では若干の高値を示したものの,大学生の抑鬱状態に関する研究におけるSDS得点傾向と一致したものであった(e.g. 塚原 2012).
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の進捗状況は当初予定の進捗スケジュールに若干の遅れはみられるものの,概ね想定の範囲内である.平成30年度に構築した実験環境で十分な精度が得られたが,その堅牢性と再現性を見極める必要もあり,敢えて無理なスケジューリングでの遂行を避け,得られたデータを慎重に確認しながら,着実に実験と検討を遂行するものとする.したがって,今回のスクリーニング結果と予備検討を受け,令和元年度は実験参加希望者を主な対象として,年度早期からERG・TMS実験を実施する.この結果を精査したうえで,第2実験以降の検討を遂行する.上述のとおり,本研究では実験制御においてリアルタイム制御に関わる堅牢性と再現性が要求されるため,刺激呈示とデータ記録の同期に細心の注意を払い,研究を推進する.これら検討にあたっては,申請時に示した研究体制に基づいて該当分野の研究者と随時議論と確認作業を行いながら,進めるものとする.
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Causes of Carryover |
(理由)平成30年度は研究遂行のうえで必要な環境整備と実験環境の構築,ならびに動作検証を重要事項として進めた.このため,必要時に随時購入可能な消耗品の購入を控えた.また,この間に被験者の等質性を確認するため,スクリーニング対象を広くとったこともあり,各実験に要する設備機器の購入も,当該年度に必要とする最小限の範囲に止めた. (使用計画)前年度に購入を予定していたソフトウェア,関連機器等の選定と購入をおこなう.また,被験者謝金を計上する.これ以外については当初計画とおりとする.
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