2019 Fiscal Year Research-status Report
大学新入生の精神的健康改善に寄与する体育授業の要因分析
Project/Area Number |
18K10938
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
加藤 知己 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (90214387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 浩昭 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (30208160)
古賀 初 東京電機大学, 工学部, 講師 (40287446)
金築 智美 東京電機大学, 工学部, 教授 (40468971)
木村 憲 東京電機大学, 工学部, 准教授 (60408648)
石原 美彦 東京電機大学, 未来科学部, 助教 (40761557)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 体育授業 精神的健康 大学新入生 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度の平成30年度において,研究対象とした体育授業では,3週ごとに計3回の生活の振り返り(週2回の運動実施,毎日の朝食摂取,規則的な起床,充実した睡眠,積極的な友人との交流)と生活行動目標の設定と評価を実技授業に付加して実施した.しかし,得られたデータを分析したところ,当初想定した,大学新入生の精神的健康面に対する体育授業の効果を確認することができなかった. そのため,令和元年度では,生活行動目標の設定と振り返りを毎週の授業冒頭に組み入れ,その頻度を一学期に計3回(3週に1回)から計10回(毎週)に増加させ,健康教育的介入を強化した授業を展開した.また,ポスト調査への定期試験による精神的影響を軽減するために昨年度よりも1週間程度早めにポスト調査を実施した. 調査手順自体は,昨年度同様当初の研究計画調書に基づき順次遂行できた.体育受講群と対照群に対して4月と7月に同一調査を2回行った.調査内容は,GHQ28,ストレス対処能力,社会的スキル,不眠状況,インターネット依存度,友人の数,生活習慣に関する項目(運動,食生活,睡眠関連項目等)などであった. 両調査に回答が得られた調査対象者の数は550人(体育受講群:434人,対照群:116人)であった.このうち,4月時点で運動習慣のない体育受講群(n=178)と対照群(n=72)を抽出し,GHQ得点を比較した.両群ともに7月時点でともに上昇し,2元配置の分散分析を実施したところ,交互作用は認められなかった(受講群:2.89→3.38,対照群:5.17→6.01).友人づくりの数(調査対象者が所属する大学の学生)では,交互作用が認められ,体育受講群は対照群に比べて有意に多く増加する傾向が認められた.しかしながら,他項目では,現在のところ両群における明らかな相違は得られてない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和元年度の研究は,前年度の実績を踏まえて介入強化やポスト調査実施日の前倒し(1週程度)など,一部修正を加えて概ね研究計画通りに実施することができた.しかし,前研究課題の結果から想定された,体育受講群における精神的健康度を維持・改善)する効果は対照群との比較から確認できていない状況にある.今後は分析対象の抽出方法の変更やGHQの基準に基づく健常者と非健常者の割合から検討するなど,多角的,探索的に分析を進めてゆく予定である. なお,令和2年度は,新型コロナウィルスの感染拡大により,研究対象の体育授業を実施できず,調査を行えない状況となっている.この対応策について現在検討中である.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,令和元年度に得られたデータを多角的,探索的に分析を進める予定である.現時点では,運動頻度が週1回未満から週1回以上なる条件に基づいた体育受講群と対照群の平均値の比較から,体育受講群の精神的健康度の維持・改善傾向は確認できていない.そこで,今後は,以下の観点から分析を進める予定である. ①4月時点において対照群のGHQ得点は,体育受講群のそれよりも2ポイント以上高いため,対照群のGHQ得点のレベルに合わせた集団を体育受講群において抽出して比較する方法を検討する. ②GHQのカットオフポイント(≧6)に基づき,両群における健常者と非健常者の割合の変化につい検討する. ③体育受講群の中で,体育授業を含め週2回以上の運動頻度の受講者を抽出して比較する. なお,本研究課題の最終年度となる令和2年度では,新型コロナの感染拡大の影響によって,対象大学におけるカリキュラムの変更が余儀なくされた.そのため,当該年度において,本研究が対象とする体育授業は実施できない状況となった.この現状の中,今後本研究を継続する方策については,関連する研究環境条件の変化を踏まえながら検討をしてゆく予定である.
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Causes of Carryover |
昨年度までは,GHQデータと健康生活調査の入力を個別のフォーマットで依頼したため データ入力費が想定した額よりも安く抑えられた.そのため,未使用額が生じた. 今後は,両調査データを連結したフォーマットを作成し,入力作業を業者に依頼する予定である.
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