2021 Fiscal Year Research-status Report
大学新入生の精神的健康改善に寄与する体育授業の要因分析
Project/Area Number |
18K10938
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
加藤 知己 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (90214387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 浩昭 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (30208160)
古賀 初 東京電機大学, 工学部, 講師 (40287446)
金築 智美 東京電機大学, 工学部, 教授 (40468971)
木村 憲 東京電機大学, 工学部, 教授 (60408648)
石原 美彦 東京電機大学, 未来科学部, 助教 (40761557)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 体育授業 / 精神的健康度 / 大学新入生 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染拡大により令和2年度の調査実施が不可能となったため,研究期間の延長を申請した.延長を認可された令和3年度に過年度と同様に,体育受講群と対照群に対してそれぞれ4月および7月にGHQならびに健康・生活調査(運動頻度,朝食摂取頻度,不眠傾向,睡眠状況,友人数,SOC,インターネット依存度など)に関して調査を実施することができた.しかし,感染防止対策のため,研究対象とした令和3年度の体育授業は,過年度とは異なり対面授業とオンライン授業を交互に行うハイブリッド型の授業形態となった.そのため,令和3年度の調査データは授業形態の異なる研究対象授業として捉え,当該体育授業を通じた健康教育的効果を独立した単年度データとして分析を進めている.分析結果は,令和4年度ICT利用による教育改善研究発表会(私立大学情報教育協会)において発表する予定である. 2019年度(通常の対面授業)データにおいては,精神的健康度の低い(GHQ得点3点以上)の集団において,分散分析の結果,体育受講による精神的健康度の改善効果を確認することができた(体育群(66人,4月時に週1回以上の運動習慣なし) 4月:6.29 → 7月:4.79,対照群(49人,両時点とも週1回以上の運動習慣なし) 4月:6.49 → 7月:6.76).しかし,2021年度においては,体育受講を通じた精神的健康度の改善効果が得られなかった(体育群(64人) 4月:6.30→7月:6.23,対照群(39人),対照群4月:8.12 → 7月:7.25)). これは,ハイブリッド型体育において対面授業の回が半減したことやコロナ禍における生活全般の活動自粛によって社会的交流が妨げられた可能性が考えられる.そのため,本研究目的の分析には,今後2019年度データを用いて精神的健康度の改善に寄与した諸要因について分析を進める予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前記「研究実績の概要」でも述べた通り,新型コロナウイルス感染拡大の影響により,本年度研究対象とした大学体育授業はハイブリッド型の授業形態となった.そのため,ハイブリッド型の授業の構築と運営に労力を割かれ,研究目的の精神的健康度の改善に対するデータ分析(令和2年度)に注力できない状況が生じた. 一方,令和3年度の調査について過年度同様に実施することができた.当該年度データにおいて精神的健康度の改善効果は認められなかったものの,次に示す健康教育上の効果が確認された.そのため,今年度データは過年度とは独立して個別に扱い,コロナ禍という特異状況下における特殊な体育授業形態の効果を検討することとした.分析の対象集団は基本的な健康生活習慣レベルの低い集団として,分散分析を行った結果,運動実施頻度,朝食摂取頻度,友人づくりや社会的スキルなどの側面において体育受講による教育効果を一定程度検証することができた.一方,睡眠状況については、体育受講の有無に関係なく,学期始めに比べて学期末にかけて悪化する傾向にあることが明らかとなった.感染拡大状況下において精神的健康度への効果は得られなかったものの,健康生活上の教育効果や新たな課題が確認できたため,その成果を,令和4年度「ICT利用による教育改善研究発表会(私立大学情報教育協会)において発表してゆく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究期間における3回にわたる調査を実施したが,コロナ禍の影響もあり,2か年にわたり計画通りに研究を進められない状況が生じ,意図した研究データを得ることができなかった面があった.しかしながら,2019年度データに関しては想定した結果が得られているため,再延長の令和4年度に大学体育授業の精神的健康度に寄与する要因分析に注力したいと考えている.
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Causes of Carryover |
令和2年度において,調査関連経費は支出した.残金については分析関連の物品(消耗品)の購入に充当する予定である.
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