2018 Fiscal Year Research-status Report
Design of paper crafts as learning and teaching materials for anatomy and physiology
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18K10939
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
高柳 雅朗 東邦大学, 医学部, 助教 (80287523)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ペーパクラフト / 解剖学教育 / 学習教材 / 医療従事者養成 / フロー |
Outline of Annual Research Achievements |
解剖学は医療従事者を目指す学生にとって重要な科目であるが、教科書等の平面資料のみによる立体的な理解は難しい。ペーパークラフトは立体造形であり、その組立てはフロー状態を促すことから、解剖学学習に有用な新たな学習教材になると期待できる。そこで本研究は学習教材として実物大の人体解剖学ペーパークラフトの開発を目的とする。 実物大の腎臓および脾臓の学習教材ペーパークラフトの展開図および組立て説明書を設計し、展開図には解剖生理学の情報を記載した。いずれの展開図もA4用紙1枚に収まった。 学習教材としての評価のため、課題群として看護学生39名(平均28.9±8.6歳)およびボランティア群43名(平均23.0±15.8歳)に腎臓ペーパークラフトを組立ててもらい、年齢、組立て時間、組立てへの集中度、組立ての楽しさ、組立ての難易度、そして勉強に役立つかを質問紙調査した。組立て時間は、課題群で平均98±40分、ボランティア群で平均87±26分であった。年齢による傾向はみられなかった。課題群では、回答者の51.3%が組立てに集中し、34.2%が楽しいと回答したが、55.3%が組立は難しく、36.8%が勉強に役立つと答えた。ボランティア群では、回答者の94.3%が組立てに集中し、95.1%が楽しいと回答したが、70.0%が組立は難しく、87.5%が勉強に役立つと答えた。(高柳ら, 第27回日本人間工学会システム大会, 東京, 2019;高柳ら, 第124回日本解剖学会総会・全国学術集会, 新潟, 2019) 年齢による組立て時間に大きな違いは認められなかったことから、幅広い年齢層の学習教材になると期待できる。組立てに対し、ボランティア群の9割以上が「楽しく」「集中」して組立て、8割以上が「勉強に役立つ」と答えたことから、ペーパークラフトを好む学生には学習教材として有用であると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最終目標としている臓器の種類に対し、これまでに展開図および組立て説明書を完成した臓器の種類が少ないため、自己点検において「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、各臓器の展開図および組立て方説明書の作成に重点を置く。これまでの開発および質問紙調査から得られた示唆を展開図および組立て方説明書に反映させ、より作りやすい展開図を作成する。具体的には、3Dモデリングにおける頂点数、辺数および面数を減らし、展開図におけるノリシロ数を減らして組立ての難易度を下げる等により、組立て時間の短縮を目指す。学習教材として学習効果を高めるための工夫である、展開図内への解剖生理学情報の記載、学習材向けの配色、重要な専門用語への英語併記等はこれまで同様に実施する。質問紙調査は、調査対象として看護学生の他に、理学療法学科および作業療法学科等の医療従事者を目指す他学科の学生も対象として行う予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品などの購入費を当初の予定より抑えることができたため、次年度使用額が生じた。 次年度使用の当該助成金は、ペーパークラフト作成のための消耗品としてプリンタ用紙およびプリンタートナーに用いる。
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