2021 Fiscal Year Research-status Report
A study on teacher's appropriate approach to improve students' motor skill
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18K10942
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
深見 英一郎 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授 (10351868)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 保健体育教師 / 指導言語 / 運動指導の手引き |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、学習指導要領に示された各運動領域の学習で習得が期待されている内容(技術・戦術、動作など)について、すぐれた体育教師は実際にどのような指導方法や指導言葉を用いて指導実践しているのかを明らかにしたいと考えた。この研究を踏まえて、学習指導要領解説 保健体育編で取り扱われている運 動領域の技術・戦術や動作の指導方法、指導言語にフォーカスした教師用の指導手引書の作成につなげたいと考えた。この手引書を活用することにより、多くの教師が自身の専門外の運動・スポーツを含む、すべての運動領域について自信をもって指導することができ、運動の苦手な生徒をはじめとする、すべての生徒たちに運動技術を習得させ、彼らの愛好的態度を高めることができるようになると考えたためである。研究方法は、すぐれた体育教師の体育授業を観察・分析するため、全国の都道府県市教育委員会に問い合わせ、「これまでに全国学校体育研究大会または都道府県レベルの公的な研究発表会等において授業公開・発表した教諭」を紹介してもらい、彼(女)が勤務する学校を訪問し体育授業を撮影する。また、各授業後に授業を受けた生徒全員に体育授業に関するアンケート調査を実施したいと考えた。各都道府県から3校程度の中学校又は高等学校を抽出して、優れた保健体育教師の体育授業を観察・分析する予定であった。しかしながら、学期中は思いのほか校務が多忙で、平日に学校訪問することができず、そのデータ収集が進まなかった。加えて、世界的規模で新型コロナウィルス感染症の蔓延状況となり、予定していた研究計画の変更を余儀なくされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】に記載したように、新型コロナウィルス感染症の蔓延状況下で遂行可能な研究テーマ及び研究方法を探索した結果、土日にも対応できる運動部活動の指導者に変更してすぐれた指導法を検討することにした。文部科学省(2013)が示した「運動部活動での指導のガイドライン」をふまえ、運動部活動の主導性に関して指導者及び部員に対する調査用紙を作成し、運動部活動の指導者が部員に対して適切な指導方法、コミュニケーションを行い、部員の意欲や自主的、自発的な活動を促すような対応を行っているだろうか。また、そのような部員の主体性を重視した運動部活動は実際に彼らから受け入れられているかを検討した。具体的には、指導者に対してチームの目標は誰が決定しているか、またその目標はチーム内でどのくらい共有されているか、さらに日々の練習計画・内容は誰が決定し、どのように練習が進められているかについて調査した。他方で、運動部活動の主体者である部員たちは、日々の運動部活動への取組をどのように評価し、指導者の指導行動をどのように受け止めているかを明らかにして両者の関係性を明らかにしようとした。その結果、チームの目標は指導者を含む部員全員で決定することを部員は高く評価している一方で、練習内容・方法については指導者を中心に決定することを部員は高く評価していることを明らかにした。その結果を、以下の学術論文としてまとめた。 深見・井上(2019)運動部活動における指導者の主導性に関する意識と部員の形成的評価との関係. 体育学研究,64-1.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年に、運動部活動の指導の主導性をテーマにした論文「部員主体の運動部活動の実現可能性:高校野球における選手選考を事例にして(深見英一郎ほか、体育学研究, 67巻 p. 343-360)が掲載された。これは、高校野球における選手選考をテーマに、指導者を対象に、望ましい選手選考の在り方とはどのようなものかを明らかにしようとした研究である。競技スポーツにおいて、選手選考は指導者とすべての部員にとって最も高い関心事の1つであり、指導者は熟慮を重ねて選手選考を行っていると予想される。試合出場及びベンチ入りする人数は競技毎に異なるが、特に高校野球では、たくさんの部員がいる強豪校では、必然的に試合に出場できない部員が出てくる。選手選考の基準や方法はチームによって様々であると予想されるが、補欠選手も含めてすべての部員が納得できる選手選考が理想であると考えられる。指導者と部員両者が納得する選手選考の条件を明らかにし、適切な手続きのもと円満な選手選考が実施できれば選手の競技意欲やチームの競技成績につなげることができると考えたからである。 当該論文では、指導者の考え・意見を基に研究論文としてまとめたが、運動部活動は部員達が中心に主体的に参加する活動である。そのため、今後は部員の考えや意見を聞き取り、部員の視点から見た望ましい選手選考の在り方を検討する予定である。チーム運営や活動方法に関して、当然、指導者と部員の考えや意見が一致していれば、チーム運営も上手く機能し、競技成績にも好影響を及ぼすと考えられるが、一致していなければチーム運営は機能せず、チームは崩壊し、競技成績にも繋がらないと考える。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイス感染症の拡大の影響を受けてデータ集計作業が遅れ、論文作成まで展開することができなかった。2022年についてはデータ集計を進め、論文作成まで展開して前年の遅れを取り戻す予定である。
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