2019 Fiscal Year Research-status Report
タンデム自転車エルゴメータを用いた受動動作による末梢及び中枢血流応答
Project/Area Number |
18K10950
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
小野寺 昇 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (50160924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 敬章 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (40343214)
荻田 太 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (50224134)
彦坂 和雄 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (60129004)
斎藤 辰哉 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (60758085)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 筋血流量 / 脳血流量 / 受動運動 / 心拍数 / 酸素摂取量 / タンデム自転車エルゴメータ |
Outline of Annual Research Achievements |
[研究の目的] タンデム自転車エルゴメータを用いれば、例えば前乗り被験者が能動ペダリングを担当すれば、後ろ乗り被験者は、受動動作のペダリングが可能となる。この方法を用いることにより受動的動作での筋血流量増大、筋温上昇、心拍数や酸素摂取量の増大を確認できる。受動的動作での末梢の活性化が脳血流の促進に寄与するのであれば、受動的な動作においても中枢の活性化が生じるという学術的な「問い」に答えることができると考えた。本研究の目的は、受動的なペダリング運動(passive movement)時の筋血流量と脳血流量の関連性の解明にある。 [研究実施計画] 本研究は、筋血流量と脳血流量を定量し、心拍数・酸素摂取量との関連性を明らかにする計画を立てている。 [研究の成果の具体的な内容] 回転数に依存する受動ペダル運動時の心拍数と前頭前野酸化ヘモグロビン濃度変化の関連性を明らかにした.被験者は成人男性7名であった.被験者は、受動的および能動的なペダリング運動(運動負荷;1.5kp、15分間)を行った.ペダル回転数は40rpmから80rpmとし,3分ごとに10rpmずつ増加させた.心拍数は心電計を用いて測定し、前頭前野の酸化ヘモグロビン濃度は、全頭測定型functional NIRS装置を用いて測定した.研究手順は、川崎医療福祉大学の倫理委員会によって承認された。心拍数は受動ペダル運動時および能動ペダル運動時にペダル回転数の増加に伴い有意に増加した.受動ペダル運動時の酸化ヘモグロビン濃度は,運動前に比べ80rpmにおいて有位に増加した.これらの増加は,能動ペダル運動に同調する受動動作の影響であると考えられた。受動ペダル運動者における前頭前野の血流量は増加した。 [研究の成果の意義・重要性] 本研究成果は、受動的動作での末梢の活性化が脳血流の促進に寄与する重要なエビデンスとなり、受動的動作が中枢を活性化させる可能性を示唆する意義を持つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、筋血流量と脳血流量を定量し、心拍数・酸素摂取量との関連性を明らかにする計画を立てている。研究開始から2年間経過し、受動ペダリング運動時の心拍数及び酸素摂取量がペダル回転数の増加に依存し、その増加は、有意であることを確認している。 2019年度には、受動ペダリング運動時の前頭前野の酸化ヘモグロビン濃度を全頭測定型functional NIRS装置を用いて測定し、脳血流量の定量への取り組みとした。その研究成果を「受動ペダル運動時の心拍数と前頭前野酸化ヘモグロビン濃度変化の関連性」として国際学会であるECSS2020(European College of Sport Science 2020, Spain)にエントリーした。ポスター演題としてアクセプトされているが、新型コロナウィルスによる影響で会期が延期になり、しかも開催地がスペインであることから参加の可否を勘案している。 2020年3月に受動ペダリング運動時の筋血流量と脳血流量の関連性に関する実験を計画していたが、新型コロナウィルスによる影響で実験実施場所である川崎医療福祉大学への分担研究者の移動が困難になったため、実験を延期している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の目標は、①筋血流量を定量し、酸素摂取量との関連性を明らかにすること、②脳血流量を定量し、酸素摂取量との関連性を明らかにすること、③筋血流量と脳血流量との関連性を明らかにすること、としている。 ①と②については、すでにデータ取得済であるが新型コロナウィルスによる影響により、国内だけでなく、海外の学会の開催の延期になっているため、 PDCAサイクルにおけるCheck項目である学会発表などのよる研究成果の公表と評価を飛ばして学術誌への論文投稿を成果公表(DO)として推進する方策を立案している。 遅れている③の実験については、新型コロナウィルスによる影響が落ち着いた段階での実験の再開を計画することとする。 ②の研究成果から当初予想していなかった新しい知見を見出した。受動ペダル運動者における前頭前野の血流量は増加したが、その一方で能動ペダル運動者の酸化ヘモグロビン濃度変化は,ペダル回転数の増加に伴い抑制された.なぜ抑制されたのか。ペダリング運動が定型運動であるためなのか、それとも、運動野における血流増加による前頭前野の血流抑制なのか。この知見に関する情報収集も進めたい。 本研究の目標は、受動的動作での末梢の活性化が脳血流の促進に寄与する重要なエビデンスとなることを検証するにある。受動的動作が中枢を活性化させる可能性を示唆する意義を持つ研究成果に結びつけたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染予防対策のため、地域(主に県境を越えた)での移動に制限が生じたため、2020年3月に計画していた分担研究者(片山敬章:名古屋市、荻田太:鹿屋市、斎藤辰哉:東京都)が出張して川崎医療福祉大学で行う予定の実験を延期することとした。 社会情勢の変化に合わせて実験を再開される計画(夏休み中を予定)を立て、分担研究者の出張旅費及び実験時に生じる謝金や消耗品費等を執行することとする。
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[Presentation] Comparison of physiological stresses between the front and the rear saddle cyclist in a two-hour endurance tandem-bicycle race2019
Author(s)
Onodera S, Hamada H, Aratani Y, Yoshida N, Ishida Y ,Tamari Y, Wada T,Saito T, Tsuchida Y, Hayashi S, Ishimoto Y, Wakimoto T, Matsuo K, Yamaguchi H, Yoshioka A, Katayama K, Ogita F
Organizer
European College of Sport Science
Int'l Joint Research