2020 Fiscal Year Research-status Report
特別支援学校(知的障害)における体育授業の現状及び充実に向けた実証的研究
Project/Area Number |
18K10951
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Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
Principal Investigator |
村井 敬太郎 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 研修事業部, 主任研究員 (10755987)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 特別支援学校(知的障害) / 体育授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
小学校や中学校、高等学校では、体育授業の改善の有効な方法の一つとして、児童生徒を調査対象に実際に取り組んでいる体育授業に対する運動有能感などを内省してもらい、その結果を次の単元や次時の授業改善にフィードバックさせることに多くの学校が取り組んでいる。これらの結果から児童生徒の内省が体育授業の改善に多くの示唆を得られることが明らかとなっている。しかし、特別支援学校(知的障害)の体育授業においては、授業研究会に見られるように教員の授業評価結果による授業改善は行われているものの、児童生徒自身の体育授業に対する意識や考え方、要望などを明らかにし、その結果を体育授業の改善に活かす取り組みはほとんど行われていないのが現状であった。 さらに、特別支援学校(知的障害)における体育授業は、体力や運動能力の向上、卒業後の就労に必要な能力を育成するといった内容で構成されていることが多く、児童生徒が体育授業を通して体を動かすことの楽しさや充実感を味わうことが難しい状況であった。そこで、高等特別支援学校に在籍する生徒の運動有能感を明らかにするとともに、現在取り組んでいる体育授業の内容との関連を比較検討することで、生徒が体を動かすことの楽しさや積極性を持って取り組むことのできる体育授業の充実を検討したいと考えた。 しかし、当該年度に実施予定であった、「高等特別支援学校生徒の体育授業に対する運動有能感」の調査研究であるが、新型コロナウイルス感染症の影響(緊急事態宣言などによる、調査対象校の休校や学校予定の見直しなどの措置)により、研究実施者の所属機関から当該年度中の学校等を対象とした研究の実施について全面的に見送るように指示を受けたことから、調査研究に取り組むことができなかった。 したがって、今後は新型コロナウイルス感染症の影響による学校の取組状況を十分に踏まえながら調査研究に取り組むことを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究1である「特別支援学校(知的障害)の体育授業の現状調査」については、全国の全特別支援学校(知的障害)を対象に調査を実施し、得られた調査結果を統計的検定にかけ、データ化を終了している。今後は考察および今後の課題を丁寧にまとめて特別支援教育関連の学会にて誌上発表を予定している。 研究2である「特別支援学校(知的障害)の体育授業に取り組む教員の意識調査」については、調査協力を得られた学校からでの調査を終了し、得られた調査結果を統計的検定にかけ、データ化を終了している。今後は研究1と同様に考察および今後の課題をまとめて特別支援教育関連の学会にて誌上発表を計画している。 研究3である「高等特別支援学校生徒の体育授業に対する運動有能感」の調査研究であるが、新型コロナウイルス感染症の影響(緊急事態宣言などによる、調査対象校の休校や学校予定の見直しなどの措置)により、研究実施者の所属機関から当該年度中の学校等を対象とした研究の実施について全面的に見送るように指示を受けたことから、調査研究に取り組むことができなかった。今後は新型コロナウイルスの影響による学校の取組状況を十分に踏まえながら調査研究に取り組むことを計画している。 研究の進捗が全体的に遅れているが、まず、研究1および研究2を完成させて特別支援教育関連の学会で誌上発表を行うことを優先し、並行して新型コロナウイルス感染症の推移を見ながら、研究に協力してくださる高等特別支援学校と連携して研究3に取り組むことを計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1である「特別支援学校(知的障害)の体育授業の現状調査」と研究2「特別支援学校(知的障害)の体育授業に取り組む教員の意識調査」については、統計的検定が終了して結果をまとめ終えているので、今後は考察および今後の課題を丁寧にまとめて特別支援教育関連の学会にて誌上発表を予定している。研究3である「高等特別支援学校生徒の体育授業に対する運動有能感」については、新型コロナウイルス感染症の推移を見ながら、研究に協力してくださる高等特別支援学校と連携して調査研究に取り組む計画である。 さらに、研究最終年度である令和3年度はこれら3つの研究をまとめて報告書として冊子化し、全国の特別支援学校(知的障害)に研究活動報告を兼ねて配布を予定しているが、新型コロナウイルス感染症の影響により研究3に取り組むことが難しい状況であることから、現状では冊子化して配布することが非常に困難である。 上述した状況下であることを踏まえると、科研費研究の終了を1年延長申請して令和4年度中に研究3の特別支援教育関連の学会での誌上発表、令和4年度末に研究活動の報告書の作成および全国の全特別支援学校(知的障害)への配布するといった計画に変更しなければ対応が非常に難しいと考えている。
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Causes of Carryover |
当該年度に実施予定であった、研究3「高等特別支援学校生徒の体育授業に対する運動有能感」の調査研究であるが、新型コロナウイルス感染症の影響(緊急事態宣言などによる、調査対象校の休校や学校予定の見直しなどの措置)により、研究実施者の所属機関から当該年度中の学校等を対象とした研究の実施について全面的に見送るように指示を受けたことから、調査研究に取り組むことができなかった。令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の影響による学校の取組状況を十分に踏まえながら、調査研究に協力してくださる高等特別支援学校と連携して取り組む予定である。さらに、現在取り組んでいる3つの研究をまとめて報告書として冊子化し、全国の特別支援学校(知的障害)に研究活動報告を兼ねた配布を予定している。 助成金の使用については、研究3の実施に係る調査票の印刷、調査票の郵送と回収、外部への委託による調査結果の集計、関連文献の購入などを予定している。さらに、3つの研究をまとめたものを報告書として全国の全特別支援学校(知的障害)に配布するため、その印刷および製本、郵送に使用することを計画している。
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