2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K10958
|
Research Institution | Tokai Gakuen University |
Principal Investigator |
筒井 清次郎 東海学園大学, スポーツ健康科学部, 教授 (00175465)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | リスク感受性 / 得意種目 / 400m走 / ダーツ投げ課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,中学生陸上競技部員を対象としてリスクの捉え方と得意種目の違いで400mのペース配分が違いがみられるのかを検討することを目的とした. 参加者は、中学校の陸上競技部員115名(長距離部員49名,短距離部員66名,男子59名,女子56名)であった.ダーツ課題において、ローリスク・ローリターンの的とハイリスク・ハイリターンの的を1投ごとに選択して15投行わせた.1)リスク回避群:ダーツ課題においてハイリスク・ハイリターンの的を3回以下選択した群(短距離40人、長距離19人)2)リスク選択群:ダーツ課題においてハイリスク・ハイリターンの的を9回以上選択した群(短距離14人、長距離17人). 400m走における100mごとの区間タイムの百分率を従属変数として,リスク感受性(2)×得意種目(2)×区間(4)の3要因分散分析を用いた. 結果 0-100m<100-200m<200-300m<300-400mの順で,スタート直後から有意に速かった.得意種目と区間の間に交互作用が見られ,100-200m区間では得意種目が短距離の者のほうが速く,一方300-400m区間では得意種目が長距離の者のほうが速いことが確認された. 考察 400m走のペース配分においてはリスクの捉え方による違いがみられないことが示された.得意種目が短距離の者のほうが前半速く走り後半に大きく失速している.逆に,得意種目が長距離の者は前半を抑えて走り,後半の失速を抑えているこれは,得意種目が短距離の者は酸素負債能力が高く,酸素摂取能力が低い、そのため前半のオーバーペースに耐えられる.逆に得意種目が長距離選手は酸素負債能力が低く,酸素摂取能力が高い、そのため後半のペースダウンに耐えられる.この種目特性がペース配分に反映していると考えられる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
400m走におけるペース配分について、種目特性(筋組成と関連していると考えている)とリスク感受性の観点から検討する実験を終え、データ解析、統計分析を終え、草稿まで作成することができた。 結果は、必ずしも期待した結果ではなかったが、400m走におけるペース配分には種目特性が大きく関係しており、リスク感受性がほとんど影響していないことが明らかにできた。このことから、、400m走におけるペース配分に関しては、心理的特性よりも生理的特性の影響の方が大きいことが示唆された
|
Strategy for Future Research Activity |
中長距離種目である1000mにおけるペース配分について、リスク感受性の影響を検討すると共に、ペース配分と競技力との関係、ペース配分と伸び率との関係、さらに、ペース配分と性格特性との関係について検討していきたい。リスク感受性の測定は、昨年度と同様に、ハイリスクハイリターンの的とローリスクローリターンの的を用意し、参加者がどちらか選択するかという割合で決定していきたい。現在の競技力や伸び率に関しては、各チーム内の相対的評価として、指導者である先生方に評価をお願いしたい。性格検査に関しては、多様な観点から分析したいので、一般的に良く用いられているYG性格検査を用いることを考えている。
|
Causes of Carryover |
今年度は、400m走のペース配分において、リスク感受性という心理的要因ではなく、筋組成という生理的要因が影響していることが明らかになったため、性格検査等を実施しないこととした。また、国際学会での発表を検討していたが、日程の都合で参加できなかった。これらの理由で次年度使用額が生じた。 次年度は、1000m走のペース配分において、中長距離走者のみを対象とするため、生理的要因の影響は検討しない。したがって、心理的要因が影響している可能性が非常に高い。そこで、性格検査等の質問紙を用いて分析を行う。また、可能であれば、いくつかの学会に参加し、情報収集すると共に、今年度の結果を学会発表したいので、それらの旅費として使用させていただきたい。
|