2018 Fiscal Year Research-status Report
運動部活動における不適応生徒の予防的指導のための尺度の開発
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18K10961
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
伊藤 豊彦 久留米大学, その他部局等, 教授 (20144686)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 運動部活動 / 適応 / 心理欲求 / 自己決定理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動部活動における不適応生徒の予防的指導のための尺度の開発に関する平成30年度の主な実施状況は、以下の通りである。 関連学会への参加及び文献検索を中心に行った情報収集の結果、運動部活動は、中学生の65%、高校生の42%が参加し、不参加生徒よりも学校適応や自己評価が高いという優れた教育効果を有する一方で、運動部活動にみられる①勝利至上主義、②非科学的精神論、③封建制といった問題から、支配-服従関係、劣等感、人間関係の軋轢といった弊害をもたらすという二面性を有することを明らかにした。また、先行研究を検討した結果、退部やバーンアウトといった運動部活動への不適応の実態や原因を把握する試みが散見されるものの、予防的指導といった観点からの研究は見当たらないことから本研究の意義を確認した。さらに、部活動参加者を理解し、部活動指導の改善や予防的指導を実施するための適切な情報収集のあり方を検討した結果、①調査協力者に心理的抵抗を与えない内容であること、②実施と集計そして活用が簡単であること、③実践内容や学級の善し悪しを評価させる内容ではないこと(河村・田上,1997)、が重要であることを確認した。 以上のことから、部活動参加者の適応状態を把握し、活動指導の改善を図るための情報として、動機づけの自己決定理論に基づく心理的欲求、すなわち、自律性への欲求、有能さへの欲求、および関係性への欲求の充足の程度を把握することが、間接的ではあるが有望であるとの結論に達し、質問紙の作成、本学倫理委員会への実施計画の申請を含む31年度の円滑な調査実施に向けての準備態勢を強めることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運動部活動における不適応生徒の予防的指導のための尺度の開発に関して情報収集を行った結果、部員並びに指導者の実践場面における利用可能性と運動部指導の改善のための情報提供の観点から、動機づけの自己決定理論における中心的な概念である心理欲求の充足の程度に着目することが有効であることが明らかとなり、質問紙作成のための準備態勢が整ったと判断されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、心理欲求の充足を測定する項目を作成するとともに、妥当性を検討するための尺度を特定し、本学倫理委員会への実施計画を申請する。その後、調査協力校への依頼を経て調査の実施と分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、参加を予定していた2つの学会の日程が重なったためであり、今年度の学会参加費用にあてがう予定である。
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