2019 Fiscal Year Research-status Report
立位時における循環系のゆらぎ現象、脳酸素化状態と実行機能の関係に関する検討
Project/Area Number |
18K10963
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
曽根 涼子 山口大学, 教育学部, 教授 (50271078)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 立位 / 高温 / 実行機能 / 血圧 / 周波数解析 / 酸素化ヘモグロビン / 脈拍数 |
Outline of Annual Research Achievements |
静止立位時における前頭前野の酸素化動態、循環系(脈拍数および血圧)のゆらぎ現象、および実行機能(ストループ・カラー・ワードテスト(SCWT)による)の推移、およびそれらの相互関係について、環境温度の影響も含めて検討した。健常な男子学生を対象として、通常温度(28℃)下で、椅座位を15分間保った後に立位を1時間保持し、その後、その場で左右へ体重を移動する運動を3分間行う実験、およびその対照として椅座位を保ち続ける実験(2018年度)に加えて、より高温の環境(30℃)下で座位あるいは立位を1時間保つ実験を行った。通常温度下の実験では前頭前野で近赤外分光パラメータを連続的に測定した。全実験において、Finometer MIDI(FMS社)を用いて15分毎に5分間ずつ脈拍数および血圧を1拍毎に測定し、実験後にDADiSP(CAEソリューションズ社)を用いて周波数解析を行い、低周波成分のパワー(LF:0.04~0.15 Hz)と高周波成分のパワー(HF:0.15~0.5 Hz)を求めた。また、SCWTにおける干渉処理時間を15分毎に測定した。通常温度条件では、前頭前野の酸素化ヘモグロビン濃度やストループ干渉処理時間は全体を通して姿勢および時間によって有意に変化しなかった。ただし、1時間の立位後の運動によって前頭前野の酸素化ヘモグロビン濃度が明らかに上昇した被験者がおり、彼らについては同時に循環パラメータのLFパワーが低下、およびストループ干渉処理時間が短縮する傾向があった。高温環境では、座位に比べて立位の方がLF/HF比は上昇し、ストループ干渉処理時間は延長する傾向があった。以上のことから、立位時の脳の酸素化状態、循環系のゆらぎ現象および実行機能は軽い運動で変化する可能性があることが示唆された。また、高温環境では循環系のゆらぎ現象や実行機能が姿勢によって異なる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基本的には当初の計画に沿って研究を進めた。しかし、実験を十分には行えていない状況にあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和二年度には、環境温度が静止立位時の脳酸素化状態、循環系のゆらぎ現象、および実行機能の応答に及ぼす影響について引き続き検討すること、および新たに座位と立位を色々に組み合わせた場合の作業効率を検討することを予定している。しかし、新型コロナウィルスとの関係で、当初の予定通りの方法では実施できない可能性があると考えられる。そのため、温度コントロールを環境制御室を使用するのではなく水灌流スーツを用いて広い実験室で行うようにするなど工夫して実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
結果的に残金が生じたが、1万円未満であり、次年度の実験関係物品の購入などに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)