2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of optimum exercise program aiming at brain activation in cognitive-motor control.
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18K10969
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Research Institution | Heisei International University |
Principal Investigator |
加藤 雄一郎 平成国際大学, スポーツ健康学部, 教授 (90393173)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 認知-運動制御機能 / 事象関連電位 / Go/NoGo 反応時間 / 有酸素性運動 / 運動強度 / 全身持久性体力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,継続的な有酸素性運動に伴う認知-運動制御機能の効果が,①どのような運動強度や快適感情でもたらされるのか,②全身持久性体力との関連性がどうなっているのかについて,反応時間,事象関連脳電位,ストレス指標(唾液アミラーゼ),快適感情尺度を用いてその機序を明らかにすることである。対象者は健常成人 15 名(男性12名,女性3名)であった。有酸素性運動は自転車エルゴメーター(232CXL, Combi)による自転車漕ぎを用い,3条件の運動強度による検討を行った(自己設定強度, 被験者自身が負荷と回転数を自由に設定(20 分間);中等強度, 50-60%VO2max 強度・50 rpm(20 分間);高強度インターバル, 85%VO2max 強度・50 rpm(90 s 高強度 + 60 s 低強度 50Wを4セット))。運動前後,運動後 30 分に左右選択 Go/NoGo 反応時間,唾液アミラーゼ, 感情尺度短縮版(MCL-S.2)を計測した。その結果,運動後の快適感情は全ての条件で改善されたが(期間の要因:0.47, 1.55, 1.05),唾液アミラーゼは高強度インターバル条件において有意に高くなった(高強度:26, 34, 23 kIU/L)。一方,Go/NoGo 反応時間は,高強度インターバル条件で有意な改善を示したが(285, 272, 276 ms),その他の条件では有意差は認められなかった(自己設定:281, 283, 282 ms;中等強度:288, 289, 284 ms)。Go-P3,NoGo-P3 の振幅と潜時の両方において,3条件間に有意な改善は認められなかった。これらの結果より,高強度インターバル運動は,ストレスはかかっているが,快適感情は向上することが認められ,脳の注意機能に影響しないが,実行・抑制機能を一過性に高めることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
認知-運動制御機能の評価には,Go/NoGo 反応課題における事象関連電位(脳波)計測を用いる。現在までの進捗状況は,当初計画の検討課題1の実験が終了し,脳波解析を含めて,学会報告まで実施することができた。本年度の検討課題2では,2種類の運動強度(①中等強度,②高強度インターバル)による3ヶ月間の運動介入を実施し,認知-運動制御機能に与える持続的効果(トレーナビリティ)を検証しなければならない。しかし,新型コロナウィルス感染拡大の防止のため,被験者実験そのものが8ヶ月間の停止となった。そのため,実験は未だ途中の段階となっている。被験者 12 名を対象に①中等強度(ジョギング,6 名),②高強度インターバル群(6 名)に分け3ヶ月の運動介入研究(トレーニング実験)を開始した。運動介入前の反応時間,心理アンケート(快適感情尺),脳波計測まで終了しているが,運動介入後の実験は5名までの実施に留まっている。全身持久性体力の指標である最大酸素摂取量は,中等強度群 40.4 mL/kg/min,高強度インターバル群 46.0 mL/kg/min であった。反応時間は 20 分間の中等強度による自転車漕ぎの前後で計測した。中等強度群 295, 280 ms,高強度インターバル群 280, 260 ms であり,両群とも運動後に一過性に認知-運動機能が向上していることが分かった。これらの数値が運動介入後にどのように変化し,どちらの運動強度が脳機能の改善に有効であるのかを検討する予定である。本検討課題を実施するにあたりGPS 心拍計を 14 台購入することができたが,十分な被験者数を確保するためには,もう1セッションの運動介入実験を実施するために被験者を募集する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
検討課題2のパフォーマンスデータからの研究成果を裏付けるために,脳波解析(事象関連電位 P3)の作業を引き続き実施していく。また,運動介入後の実験を残り7名分を実施し,その後,サンプル数を増加させるために,中等強度トレーニング,高強度インターバルトレーニング(HIT)による週3回3ヶ月間の運動介入実験の被験者を募集する計画である。追加する被験者数は,12~16 名を予定している。十分な被験者数の募集と脳波解析のための時間を確保することが,今後の研究推進の重要な鍵となる。スムーズに実験を完遂させるために GPS 心拍計(GARMIN, FA235J)については,数台の追加購入を予定している。
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Causes of Carryover |
当該年度は,トレーニング課題を実施する予定被験者の半数のみの募集しかできなかったため,「人件費・謝金」の支出が減少した。また,予定していた学会が新型コロナウィルス感染拡大防止のためにオンライン開催となったため,「旅費」での経費支出が発生しなかった。生じた差額(次年度使用額)を次年度の「物品費」「旅費」「人件費・謝金」に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)