2018 Fiscal Year Research-status Report
最大を表す語彙を伴った無自覚的動機づけが運動系と瞳孔調節系神経活動に与える影響
Project/Area Number |
18K10976
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宝田 雄大 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (70367093)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | goal-priming / unconscious motivation / motor system / TMS / pupillometry / effort |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の研究の目的は、自覚的動機づけの運動系、瞳孔関連神経調節系、運動行動に与える影響の検証(a)である。そもそも、無自覚的動機づけは、見えたと自覚できない(閾下)の行動目標と、内的報酬を誘発するような前向き、素晴らしい等、形容詞との対呈示により行われる。この対呈示では、前者を条件刺激(conditioned stimulus, CS;USである餌との対経験を条件として唾液分泌を誘発する)、後者を無条件刺激(unconditioned stimulus, US;無条件で唾液分泌を引き起こす餌)としたパブロフ型(古典的)条件付けパラダイムとなっている。 そこで自覚的動機づけの運動系、瞳孔関連神経調節系、運動行動に与える影響を調べるために、そのパブロフ型(古典的)条件付けを模したパラダイムを用いて、十分見えたと自覚できる行動目標の閾上呈示とこれまでの閾下呈示と報酬との対提示による動機づけの皮質脊髄路興奮性、瞳孔径、握力に与える影響を調べ比較検討した。 その結果、行動目標の見えたという意識経験の有無に関係なく、(行動目標+前向き形容詞)は運動系と瞳孔関連神経調節系の高進を伴って、(結果的に)努力感に変化なく、素早い、力強い筋力を発揮させることがわかった。またこの持続的な力強い行動には、予め与えられた行動目標と前向き形容詞(肯定的感情)との周期的な同時活性化による相互作用が主動的な役割を果たしていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本実験に際しては、十分な予備実験を踏まえて、その準備を周到に行った。そのうえで、妥当な仮説を正確で適切な方法に基づき検査した。これらが初年度の課題がおおむね順調に進展している理由だと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究の目的は、(b)「最大」の語彙を伴った自覚的及び無覚的動機づけが運動系、瞳孔関連神経調節系、運動行動に与える影響を明らかにするために、古典的条件付けを模したパラダイム下(Takarada & Nozaki, 2014)で経頭蓋的磁気刺激法(Transcranial Magnetic Stimulation, TMS)の反対側の一次運動野(MI)単発刺激の誘発筋電図(MEP)、瞳孔径を取得し、握力に与える影響を調べることである。そのためには、電気生理学的な検査実施以前に、予定されている視覚刺激が行動データ(握力)に与える影響を調べ大よその傾向を知る必要がある。
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