2022 Fiscal Year Research-status Report
幕末期における為政者の武芸実践および武芸政策にみる武芸思想に関する文献学的研究
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18K10979
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
菊本 智之 常葉大学, 健康プロデュース学部, 教授 (70267847)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 幕末 / 為政者 / 武芸実践 / 武芸政策 / 武芸思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度、令和3年度に予定、計画されていた幕末期の為政者として着目していた板倉勝静(幕末期最後の老中筆頭。これまで研究を進めてきた徳川吉宗の血筋であり、吉宗の孫の松平定信の孫)やその兄弟(若年寄、寺社奉行など)の政策や武芸関連史料などの研究調査、史料閲覧、史料蒐集、史料における専門知識の提供、研究打ち合わせなど、新型コロナ感染症拡大防止の観点から、県を跨ぐ移動の制限や対面の状態での研究活動などが制限されていたため、ほぼ研究計画で予定していた調査、史料蒐集など実施できず、史料の分析、知見の検討、専門的知識の提供などを踏まえた研究を進めることができなかった。 令和4年度になって徐々に感染症対策や対応策が講じられたため、制限のある中でも少しずつ研究活動も再開しているが、令和2年度、3年度に進める予定の研究調査や史料閲覧、史料蒐集を再開し、研究を進めているところである。 令和4年度の研究を再開するにあったては、、板倉勝静と同時代、幕末期に15代将軍徳川慶喜の名代として官軍との交渉にあたるなど幕末期の最も重要な場面で政治的手腕を発揮した幕臣の山岡鉄舟に焦点化し調査、研究を進めることとした。山岡鉄舟は、幕末期の政治手腕を発揮しただけでなく、明治時代になってからは、静岡藩の権大参事、茨城県参事、明治天皇の侍従、宮内大丞、宮内少輔などを歴任しており、幕末転換期の為政者として注目すべき人物である。山岡鉄舟については、多くの先行研究があるが、本研究の視点である幕末期における為政者の武芸実践および武芸政策にみる武芸思想を考究していくためには、欠かせないキーマンとして研究対象とした。 5月に高山市での基礎調査を行い、9月に資料閲覧や実地の調査などを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和4年度は、新型コロナウィルス感染症の対応、対策などもそれまでより、かなり緩和されたり、対応策が講じられ、徐々に研究活動が行えるようになってきた。しかし、令和2年度、3年度にわたって滞っていた研究計画を充分取り戻すことはできなかった。令和4年度は、令和2年度、3年度に計画していた調査研究を再開する方向で計画の修正を行いながら、回復を試みてきたが、2年間にわたる研究計画の遅れを取り戻すには時間がかかっており、研究の進捗は大幅に遅れている。この2年間の間に計画を断念していた板倉勝静やその兄弟に関わる調査研究を進める一方で、幕末期から明治期に渡って政治的手腕を発揮した重要な人物の一人である山岡鉄舟の関わる調査研究も併せて行うこととした。山岡鉄舟関係の先行研究は多く見られ、新たな史料の発見も難しいところがあるが、幕末期に続いて近代明治期へと武芸思想の橋渡し役を果たした重要な為政者の一人として押さえておく人物であると判断した。幕末期の重要な為政者の一人として、武芸実践、武芸政策、武芸思想という観点からの史料研究、およびその分析は充分ではないと考え、研究対象の一人に加えた。これらの経緯により、研究は遅れる状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度、3年度の研究計画を令和4年度に社会的状況、環境の変化に対応しながら、遅れを取り戻し、進捗状況を改善し、研究の最終年度にあたって、これまでの成果をまとめる予定であったが、研究期間の後半、おそよ2年半は、ほぼ調査、研究の進まない状況であった。研究の補助事業期間の延長を申請し、これが認められたため、令和5年度にかけて、研究計画の推進を図る予定である。本研究の所期の目的を達成するべく、令和5年度の前半には、少しでも多くの実地調査、史料蒐集を実施し、研究テーマである幕末期における為政者の武芸実践および武芸政策にみる武芸思想のできる限りを明らかにしていきたい。これらの史料の分析、解析をしていく上での研究備品(作業用のディスプレーなど)も早々に入手し、作業の効率化を図る予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から、令和2年度、3年度の研究計画が大きく停滞し、研究が大きく遅れ、令和4年度より徐々に研究を再開している。このため、研究期間の最終年度には、研究が完了することができず、補助事業の期間延長を申請し、研究を推進することにした。このため、延長期間である令和5年度に研究費の使用額が生じることとなった。助成金の使途は、主に、研究上必要となる史料の分析などで使用する大型のディスプレーやドッキングステーション、それに付随するデバイス、複写備品の購入を考えている。また、史料の収集、専門的知識の提供に必要な謝金なども必要と考えている。さらに、研究成果の発表の場として、学会の発表、論文の投稿を行う予定にしており、これに係る経費なども使途に含めたいと考えている。
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