2020 Fiscal Year Research-status Report
肝臓X受容体を介した非アルコール性脂肪性肝炎と心臓血管疾患をつなぐ臓器連関の解明
Project/Area Number |
18K10993
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渡辺 彰吾 岡山大学, 保健学研究科, 准教授 (20548341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 由美 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (30632707) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | NASH / SHRSP5 / 心筋梗塞 / 動脈硬化 / 胆汁酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)では、肝臓が担う脂質や糖などの栄養代謝の異常を介して、動脈硬化を悪化させ、心臓や血管にまで重篤な悪影響を及ぼす。本研究では、肝臓疾患であるNASHと心臓・血管疾患をつなぐ「臓器連関」を解明し、効果的な先制的治療法を見出すため、肝臓や血管などに発現している肝臓X受 容体(LXR)に着目した。このLXR活性は一度形成されたアテローム性脂肪沈着巣からコレステロールを引き抜き、動脈硬化を退縮させる革新的な効果が期待されて いるが、脂質合成系遺伝子(SREBP1c)も誘導して、肝臓の脂質沈着をさらに悪化させる欠点がある。本研究では、この欠点を克服するため、目的1:胆汁酸による SREBP1c活性の抑制効果と目的2:SREBP1cを活性させないLXR活性の新規リガンド候補であるウアバゲニンの効用について、申請者らが所有する特殊なNASH-心筋 梗塞発症モデル(SHRSP5/Dmcrラット)を使用して検討する。2018年度は、本研究で使用しているSHRSP5ラットの胆汁酸基礎代謝について調べ、血中および肝臓中 の胆汁酸上昇にともなって、肝線維化、動脈の脂質沈着、心筋梗塞が悪化することを証明し、Int J Exp pathに掲載された。2019年度は、予定通り、東北大学よ りウアバゲニンの提供を受け、NASHにおける肝臓線維化、動脈における脂質沈着が改善された。2020年度では、さらなる条件検討、ウアバゲニンの構造類似体であるジゴキシゲニン、ジギトキシゲニンなどの投与を行い、ウアバゲニンの有用性を確認できた。本結果は現在、海外ジャーナルへ投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究仮説と概ね同様の実験結果が得られ、研究計画を変更する必要はないため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定を早め、LXRの新規リガンドの候補であるウアバゲニンを投与し、そのリガンド活性がSREBP1cを活性化させず、動脈硬化や心筋梗塞を改善し、かつ肝臓の脂肪蓄積を悪化させないことを確認できたが、すでに形成されたアテローム動脈硬化巣を退縮させるか否かは、詳細な検討が必要であった。昨年度は実際に重篤な動脈硬化を起こした状態でのウアバゲニン投与を試みて、脂質沈着の退縮が認められた。今年度はこれまでの研究成果を海外ジャーナルに投稿し、追加実験に備える。
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Causes of Carryover |
予定よりも実験が順調に進み、追加実験の予定がなくなり、余剰金額が生じた。今年度は海外ジャーナルに投稿の際に求めらる可能性が高い追加実験などの費用に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)