2019 Fiscal Year Research-status Report
フルクトースと脂肪酸の相互作用による代謝変動の解明
Project/Area Number |
18K11007
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
岸田 邦博 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (30412703)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 勇人 和歌山県立医科大学, 共同利用施設, 講師 (00223298)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | フルクトース / 脂肪酸 / 代謝変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に実施した投与試験で得られた肝臓サンプルについて、LC/MS/MSによる網羅的解析をおこない、タンパク質発現データを主成分分析-判別分析により解析した。3つの主成分が抽出され、第1主成分は魚油群と他の3群を区別でき、魚油群ではβ酸化関連タンパクが高発現し、アミノ酸代謝関連タンパクが低発現であることが特徴づけられた。第2主成分は魚油群と中鎖脂肪食群を区別でき、魚油群が中鎖脂肪食群と比較して高発現であるのはβ酸化関連タンパクであり、逆に魚油群が中鎖脂肪酸群と比較して低発現であるのは糖代謝や脂質代謝に関連するタンパクであることが明らかになった。第3主成分はラード群と大豆油群を区別でき、ラード群が大豆油群と比較して高発現であるのは糖代謝、解毒、尿素回路および脂質合成関連タンパクであり、逆にラード群が大豆油群と比較して低発現であるのはアミノ酸代謝およびβ酸化関連タンパクであった。 本年度は、フルクトース(Fru)食の影響をグルコース(Glu)食と比較するため、魚油または大豆油をFruまたはGluと組み合わせた飼料を合計4種類調製してラットに4週間給餌した。摂餌量および体重は、投与試験期間を通じて差は認められなかった。解剖時の血中グルコース濃度に差はなく、血中トリグリセリド濃度は、魚油+Glu < 魚油+Fru ≒ 大豆油+Glu < 大豆油+Fruであり、血中コレステロール濃度は、魚油群が大豆油群より低かった。肝臓トリグリセリド濃度は、大豆油+Glu群が他の3群より高く、肝臓コレステロール濃度は、大豆油+Fru群が他の3群より低かった。今後、これらの結果が得られたメカニズムを明らかにすべくqPCRやLC/MS/MS解析により、生体内の代謝変動を明らかにする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肝臓脂質分析において検討が必要となったため、予定していた遺伝子やタンパク発現解析が年度内に実施できなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の投与試験より得られたサンプルを用いて遺伝子およびタンパク発現解析をおこない、フルクトースと油脂の組み合わせにより引き起こされる代謝変動を解析する。また、ラードおよび中鎖脂肪についても同様にフルクトース食およびグルコース食と組み合わせた飼料を給餌する投与試験を行い解析する。最終的に3年間の研究期間で得られたデータを精査し、フルクトースとさまざまな脂肪酸の組み合わせにより引き起こされる代謝変動を解明する。
|
Causes of Carryover |
遺伝子発現解析が当初の予定より遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。 次年度には当初の計画どおりの解析を実施する。
|