2019 Fiscal Year Research-status Report
Impariment of vascular function during prolonged sitting
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18K11012
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Research Institution | Mount Fuji Research Institute, Yamanashi Prefectural Government |
Principal Investigator |
堀内 雅弘 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (50310115)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 血液貯留 / 座位行動 / 血管内皮機能 / 中心循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、長時間座位時の弾性ストッキング着用の効果を、下腿への血液貯留と動脈血管内皮機能の観点から検討するために実験を継続した。同時に、虚血プレコンディショニングが血管機能に及ぼす影響を検討するための予備実験を数例行った。 前者は、10名以上の被験者に対する実験が終了したが、統計的有意差を得るには、もう数例から10例ほどサンプル数が必要である。具体的には、弾性ストッキング着用により、近赤外線分光法により評価された総ヘモグロビン量の増加が抑制された。さらに脱酸素化ヘモグロビンの増加も抑制された。脱酸素化ヘモグロビンは主に静脈に貯留していると考えられるため、この指標の抑制は下腿静脈への血液貯留を抑制できたことを示している。したがって、弾性ストッキング着用はエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)の予防に効果的ある可能性が示された。さらに一回拍出量低下の抑制も認められた。一回拍出る量の低下は、静脈還流促進の可能性があるため、このことも下腿への血液貯留増加抑制の裏付けとなると考えられた。さらに、両者の間に有意な相関関係を認めることができた。一方、弾性ストッキング着用は動脈の血管内皮機能にはなんら影響を及ぼさないことが示唆された。前者の血液貯留への好影響は、仮説通りの結果であるが、先に述べたように、統計的に十分な効果量を得るために、実験を継続する必要がある。2019年度の成果の一部は、アメリカスポーツ医学会、およびヨーロッパスポーツ科学会にてそれぞれ発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までは、おおむね順調に進行してきた。しかし、3月以降新型コロナウィルスによる影響で、対ヒトの実験が完全に頓挫している状況であり、今後は未定と言わざるを得ない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、新型コロナウィルスの状況を見ながら、実験を再開し残りのサンプル数を確保するとともに、虚血プレコンディショニングが動静脈血行動態に及ぼす影響の本実験を終了させる予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度、実験は順調に行えたが、予定していた消耗品の一部を共同研究者より貸与することができたこと、および被験者を完全にボランティアで雇用できたため、多額の賃金が発生せず余剰分が生じた。
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