2018 Fiscal Year Research-status Report
カロリー制限による老化と癌の制御におけるFMO3遺伝子の役割
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18K11024
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
林 洋子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (40513221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 亮一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (30509310)
下川 功 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (70187475)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | FMO3 / カロリー制限 / FOXO1 / FOXO3 / NPY / 寿命延長 / 腫瘍抑制 / エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、Flavin containing monooxygenase 3 (FMO3)のカロリー制限条件下における機能を明らかにすることである。当該年度においては、カロリー制限動物の肝臓におけるFMO3-mRNA発現制御解析を行った。野生型カロリー制限マウスでは、予測どおり、自由摂食マウスと比較して、肝臓におけるFMO3-mRNA発現レベルの有意な増加が認められた。 カロリー制限下におけるFMO3とFOXO1、FOXO3との関係を調べるために、FOXO1半欠失マウス、FOXO3半欠失マウス、およびFOXO1/3半欠失マウスにカロリー制限を行い、肝臓におけるFMO3-mRNAの発現を解析した。FOXO1半欠失マウスの肝臓では、カロリー制限によるFMO3発現の増加が消失した。また、FoxO1/3半欠失マウスにおいても、同様にカロリー制限によるFMO3発現の増加が消失した。一方で、FoxO3半欠失マウスでは、野生型カロリー制限群と同様なFMO3発現の増加が認められた。FOXOサブファミリーのうち、FOXO1が、カロリー制限におけるFMO3の増加に関与することが示唆された。 NPY欠失マウスにおいても、カロリー制限を行い、肝臓におけるFMO3-mRNAの発現を解析した。NPY欠失マウスのカロリー制限群では、FOXO1半欠失マウスと同様に、野生型に見られるFMO3-mRNA発現の増加が消失していた。 FOXO1は、肝臓における糖代謝と脂質代謝を調節する因子とされており、また、これまでの我々の研究から、カロリー制限の腫瘍抑制効果を担っている可能性がある。カロリー制限動物におけるNPYのエネルギー貯蔵効果、およびFOXO1のエネルギー代謝調節と腫瘍抑制効果において、FMO3が関わっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カロリー制限動物におけるFMO3の役割を明らかにするために、FMO3欠失マウスを作製中である。CRISPR-Cas9システムを用いて、試みているが、有効なノックアウトマウスが作製できず、現在原因検索中である。
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Strategy for Future Research Activity |
CRISPR-Cas9システムを用いてFMO3欠失マウスを作製する。まずは、寿命集団、経時的屠殺集団を確立する。FMO3欠失マウスにおいて、カロリー制限の寿命延長効果に変化が起こるのかどうかについて明らかにする。その後、これらの動物に発癌剤を投与し、カロリー制限における腫瘍抑制効果について、FMO3が役割を有するのか検索する。
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