2020 Fiscal Year Research-status Report
低出生体重児の減少と母子保健を推進する効果的な公衆栄養施策実現のための基盤研究
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18K11027
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
由田 克士 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (60299245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福村 智恵 (荻布智恵) 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 准教授 (80336792)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 出生体重 / 低出生体重児 / 在胎週数 / 栄養・食生活 / 母子保健 / 母親の体格 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度については、新型コロナウイルス感染症予防の影響より、調査済みデータによる解析を進めた。 まず、出生体重と在胎週数の関係について、改めて基本的な検討を行った。平成27~28年に実施された3~4か月児健診受診対象児の保護者に自記式質問紙調査を実施し、協力が得られた者のうち欠損値が認められる者を除く1,995名を解析対象とした。集団全体の出生数2,012名中、低出生体重児(LBW)の出生数(割合)は215名(10.7%)であった。単胎児1,978名のみの在胎週数と出生時体重の平均値±標準偏差は38.8±1.8週、2,998±418 gであり、LBWの出生数(割合)は190名(9.6%)であった。本集団でも在胎週数に応じ出生体重の増加が認められた。単胎児のLBWの割合は、39週以降で5%未満であったが、37週以前では20%を上回った。また、正期産である37~41週の間でもLBWが約6%認められた。交絡因子を調整し、これらに影響した栄養・食生活の要因について検討する必要性がある。 さらに、母親の身長に焦点を当て、児の身体状況との関連及び母親の食習慣・食意識との関連についても検討した。母親の身長は、第一四分位数を基準として「155cm未満群」、「155cm以上群」の2群に分け、児の身体状況及び母親の食習慣・食意識・食に関する知識との関連を検討した。児の出生時体重の平均値(標準偏差)は、155cm未満群(139名)は2,942(334)g、155cm以上群(439名)は3,038(330)gと差を認めたが、低出生体重児の出生割合に差は認められなかった。また、低身長の女性は食意識が低く、食事バランスガイドの実践度も低かった。このことが朝食・野菜・果物摂取頻度の減少や、コンビニ・ファーストフード利用頻度の増加と関連している可能性があり、これらに応じた公衆栄養施策の展開が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今般の新型コロナウイルス感染症予防対策のため、予定していた質問紙調査が再開できなかった。また、さまざまな制約が求められる中で、通常の研究体制に戻すことができず、データの処理や解析等が思うように進められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今般の新型コロナウイルス感染症予防対策に伴うさまざまな制限が緩和・解除されしだい、自治体において実施している幼児の保護者を対象とした質問紙調査を再開するとともに、調査が終了した部分のデータクリーニングとデータベースの作成を行う。そのうえで、低出生体重児の出生と母親の食習慣、生活習慣、生活環境の関連について、地域ごとでの横断解析や地域間での違いなどについて多角的に検討を行う。 また、データが確定した部分から、妊娠前、妊娠中、出生時、3か月児健診時、1歳6か月児健診時、3歳児健診時のデータをリンケージし、縦断的な解析も実施する。出生から3歳児健診までの期間における、母親の食習慣、生活習慣、生活環境ならびに児の出生時体重やその後の発達状況を経時的に検討する予定である。 一方、幼児を対象に季節や曜日を考慮した食事調査については、出生時からの健診成績等とのデータリンケージを実施し、栄養状態と児の発達の関係についても、従前の計画にしたがい検討を進める予定である。 今後の感染症予防対策の状況に影響を受けると予想されるが、一連の調査から得られるデータを取りまとめ、引き続き、低出生体重児の減少と母子保健を推進する効果的な公衆栄養施策を実現するための科学的根拠の蓄積に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症のため、当初計画していた調査や解析等を予定どおり進めることができなかったため、残額が発生した。 これらの内容については、研究期間を延長し、執行する予定である。
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Research Products
(10 results)