2019 Fiscal Year Research-status Report
プロバイオティクス乳酸菌の体内時計改善を介した代謝調節機構の解明
Project/Area Number |
18K11039
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
渡辺 純 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (10374729)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プロバイオティクス / 乳酸菌 / 体内時計 / 代謝調節 / 胆汁酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、プロバイオティクス乳酸菌の肥満抑制の作用機序を時計遺伝子の発振変動を介したエネルギー代謝の概日リズム調整という観点から明らかにし、代謝調節機能を有する食品設計に活用することを目的とする。本年度は、プロバイオティクス乳酸菌による肥満抑制が、エネルギー代謝の概日リズム変化を介することを明らかにすることを目指し、以下を実施した。 エネルギー代謝の概日リズムの乱れを伴うことが報告されている、C57BL/6マウスにおける高脂肪食誘導肥満モデルを用いた。マウスに通常脂肪食、高脂肪食あるいは高脂肪食に漬物より分離した2菌株の乳酸菌を添加した飼料で飼育、体重の推移を観察した。Lactobacillus plantarum #53株生菌体の投与により、高脂肪食摂取による体重増加・内臓脂肪の蓄積が抑制され、肝臓での脂質代謝や腸内細菌叢の変化が一部関与することが示唆された。しかしながら、肝臓、小腸での時計遺伝子の発現をRT-PCRにより比較したが、乳酸菌生菌の投与による発現変動は観察できなかった。漬物分離株からL. plantarum #53株よりも顕著に高い胆汁酸加水分解酵素活性を有する乳酸菌株を分離し、菌種を推定した。これらを高脂肪食に添加してC57BL/6マウスに投与し、現在時計遺伝子の発現を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高脂肪食誘導肥満モデルを用い、一部の乳酸菌株が体重増加・内臓脂肪の蓄積を抑制することを示したが、乳酸菌摂取による時計遺伝子発現への影響は現在のところ観察されていない。一方で、顕著に高い胆汁酸加水分解酵素活性を有する乳酸菌株を分離したことから、今後はこれらを用いた評価を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに動物実験により評価したL. plantarum #53株と比較して、顕著に高い胆汁酸加水分解酵素活性を有する乳酸菌株を分離した。今後はこれらを用いた評価を実施する予定である。また、これまでに得られている乳酸菌株を消化管内容物添加培地で培養し、培養後の胆汁酸組成の変化を調べるとともに、腸管培養細胞を用いた時計遺伝子への影響の評価も実施する予定である。
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Causes of Carryover |
異動に伴い、年度を跨いだ実験を実施することができず、遺伝子発現解析の一部を次年度に実施することとなったため。
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