2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K11050
|
Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
村上 茂 福井県立大学, 生物資源学部, 特命教授 (50740990)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 崇志 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (80423119)
宮崎 照雄 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60532687)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | タウリン / マイオカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
タウリンは、脂質や糖代謝に影響を与え、肥満、糖尿病、脂肪肝、脂質異常症などの生活習慣病を予防する効果が実験動物において多数報告されている。また、運動により筋肉からタウリンが遊離することが報告されており、本研究では、運動による生活習慣病予防効果にタウリンが関与している可能性の解明をめざした。C57BL6マウスにタウリンおよびタウリントランスポーター拮抗剤のグアニジノエタンスルホン酸(GES)を1ヶ月間飲水投与し、組織の遺伝子発現を網羅的に解析した。 タウリン投与により血中タウリン濃度が増加することは良く知られており、今回は投与終了後に肝臓および白色脂肪組織を摘出し、これらの組織における遺伝子発現をマイクロアレイ法によるトランスクリプトーム解析を行った。肝臓では対照群と比較して、タウリン投与により2倍以上増加する遺伝子が22個、1/2以下に低下する遺伝子は9個であった。GES投与群では、2倍以上増加して遺伝子が40個、1/2以下に低下する遺伝子は14個認められた。脂肪組織ではタウリン投与により2倍以上増加する遺伝子が13個、1/2以下に低下する遺伝子は1個であった。GES投与群では、2倍以上増加する遺伝子が5個、1/2以下に低下する遺伝子が2個見いだされた。 組織タウリン量の変動により、脂質や糖代謝に関わる酵素や分子の発現変動を予測したが、全体としてこれらの遺伝子発現に顕著な変動は認められなかった。タウリン投与では組織タウリン量が増加し、GES投与により組織タウリン量が減少することは確認しており、運動により筋肉から遊離したタウリンが肝臓や脂肪組織において何らかの影響を与えていることは推察される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナの影響により、学生および教員の大学での活動が制限され、動物飼育ができない期間もあった。
|
Strategy for Future Research Activity |
運動時に筋肉からタウリンが遊離し、肝臓や脂肪組織の脂質・糖代謝系に影響を与えるという仮説を設定したが、マイクロアレイの結果から、期待したとおりの変化は認められなかった。しかし、一部PPAR等、脂質・糖代謝と関連する遺伝子発現の変化が見られたことから、これらの分子の変化について、3T3-L1細胞等の培養細胞系で検討を行う予定である。また、脂質・糖代謝系以外で、タウリンの増加や減少により発現変動した遺伝子があることから、培養細胞等によりこれらの遺伝子発現を確認するとともに、運動やタウリンとの関連性についても検証していく。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、予定していた検討がすべて終了しなかった。未使用額は予定していた実験等に関する消耗品費等に使用する。
|