2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K11051
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
高石 鉄雄 名古屋市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (50216610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 達也 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (00314211)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 食後高血糖 / 血糖値 / HbA1c / 骨塩量 / 階段昇降 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、60-70歳代(70.5±5.4歳)の一般中高齢者合計46名を対象に75日間の階段昇降運動による運動介入を行い、①血管系障害につながるとされる耐糖能および血清脂質値の維持・改善につながるか、および、② 身体的自立に関わる健康指標を維持・改善させるかについて調査した。 ①に関わる指標として、血糖値、HbA1c値、インスリン値および連続血糖値モニターによる血糖値変動パターンと、血清脂質値(中性脂肪、HDL/LDL-コレステロール)などの血液検査値、②に関わる指標として、全身持久性(12分間歩行)、脚伸展筋パワー、敏捷性、さらに骨代謝に関わる血液検査値(オステオカルシン)などを測定し、介入前後でその数値に変化があるかを調査した。 その結果、毎日の歩行習慣がある者、これまで特に運動習慣がない者、いずれについても、特にひざの痛みや足・脚への負担を訴えることなく、参加者全員が階段昇降運動による運動介入を完了し、①の指標のうち、HbA1c値、中性脂肪値、HDL-コレステロール値、および連続血糖モニターによる1日のAUC値に、また②の指標のうち敏捷性について機能の改善・向上を示す有意な変化が認められ、オステオカルシンの有意な増加を確認した。また、連続血糖モニターによる血糖値変動パターンと被験者の階段走行運動実施時間帯を確認した結果、血糖値の変動パターンには個人差があり、階段運動が食後高血糖の抑制に有効に作用している者とそうではない者が確認され、そのことが、血液検査値の違いとなって表れていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上記研究の中では各参加者に対し1日の中で階段昇降運動を実施する時間帯を特に指示しなかったため、運動実施が食後の高血糖を避ける上で効果的と考えられない参加者が多数確認された。そこで次の介入研究として、①で得られた血糖値変動パターンを利用し、血統調節に最も効果的と考えられる時間帯に階段昇降運動を課す介入研究を計画し、令和2年4月より介入研究を開始予定であった。ただし、新型コロナ感染症による緊急事態宣言が同時期に発出され、介入研究を全面的に中止した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、中高年齢者が階段昇降運動を日常的に行うことが、どのような「健康づくり効果」をもたらすかを明らかにするしている。令和2年4月に予定していた介入研究が中止となったことで、その際に使用予定であった連続血統モニター装置やその他のセンサーの使用有効期限が終了し、全て廃棄せざるを得なくなった。これにより介入研究が資金的に困難となったため、今後、階段昇降運動の生理的応答を実験室レベルで確認するための研究実施を検討中であるが、新型コロナ感染症の今後の動向次第では、研究費返上の可能性がある。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症により、本研究の軸となる高齢者に対する運動介入を全面的に中止した。このため、運動介入後に予定していた諸活動の経費が使用できなかった。
コロナが終息したのち、規模を縮小して介入研究を実施し、その経費として使用する。
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