2018 Fiscal Year Research-status Report
高齢者自主グループの運動を普及・継続するための仕組みづくり:住民参加型の実証研究
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18K11055
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
齋藤 義信 慶應義塾大学, 健康マネジメント研究科(藤沢), 助教 (40750261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小熊 祐子 慶應義塾大学, スポーツ医学研究センター(日吉), 准教授 (00255449)
今村 晴彦 東邦大学, 医学部, 助教 (40567393)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グループ運動 / コミュニティづくり / ソーシャルキャピタル / ソーシャルサポート / エンパワーメント / 普及・実装科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はグループで自主的に運動を継続することが、個人の身体機能・精神的健康の改善、社会的つながりの強化を通じて、ポピュレーションレベルでの身体活動促進と介護予防につながることを仮定した。藤沢市老人クラブ連合会(市老連)と共同で、住民参加によるグループ運動開始・継続のための仕組みづくりとその効果(質問紙調査とワークショップ)および短時間・低強度運動プログラムのフレイル予防効果(クラスターランダム化比較試験: cRCT)について検討することを目的とした。 2018年度は、各クラブのグループ運動の実施状況および会員個人の身体活動、健康状態、社会的つながり等を質問紙で調査した。対象は全クラブ(124クラブ)、全会員(6,276名)とした。調査実施にあたっては、8~9月に常任理事会および全15地区の代表者会議で説明し、質問紙を配布した。回答数は、クラブ向け調査では全124クラブ(100%)と未加入3クラブの合計127クラブ、会員個人向け調査では退会、死亡等の437名を除いた5,839名に配布し、4,102名(70.3%)であった。 ワークショップは、上記調査結果を踏まえ、2019年度に全15地区を対象に開始する予定である。2018年度は各クラブの代表者が参加する講座で短時間・低強度運動プログラム「ふじさわプラス・テン体操」(Osawa et al. 2015)と開始・継続のためのルール(自生した約束や決まり事)・ロール(自主的な役割)・ツール(役立つ道具や資源)を掲載したグループ運動ガイド(齋藤ら. 2018)を紹介し、2019年度に各地区でワークショップを行うことを案内した(全3回、参加者177名)。cRCTは、市老連事務局と2019年度実施に向けて計画・調整を行った。倫理的配慮については、慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科研究倫理審査委員会より承認を得た(受理番号2018-14)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
クラブ向け質問紙調査では、すべてのクラブから回答があった。全会員を対象とした質問紙調査は、70.3%の回答率であった。市老連事務局が行う会員個人への調査では、通常10~30%の回答率とのことであったため、本研究への強い関心が伺えた。また全15地区に出向き、研究の趣旨を丁寧に説明したことで、理解を深めていただいたことが高い回答率に繋がったと考える。クラブ向け・会員個人向けともに、データの入力作業とクリーニングがおおよそ終了し、解析を進める準備ができた。 グループ運動開始・継続のための仕組みづくりでは、上記グループ運動ガイドを活用したワークショップの開催を予定している。当初計画では2018年度から実施予定であったが、市老連事務局との調整により、段階的に進めることとした。2018年度は市老連主催の介護予防講座で運動プログラムとグループ運動ガイドの紹介、2019年度のワークショップ開催案内を行った。講座には各クラブの役職者が多く参加しており、2019年度実施に向けた基盤ができた。 cRCTについても2018年度に実施予定であったが、クラブ向けアンケートの回答に時間を要したため、市老連事務局と協議して、2019年度に実施することした。2019年度初頭に、上記質問紙調査の結果と併せて説明と募集を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記グループ向け調査については、すべてのクラブにおけるグループ運動の状況を把握することが可能となった。各クラブのグループ運動の実施状況を把握し、ワークショップおよびcRCT実施の際の基礎資料とする。個人向け調査については、身体活動・グループ運動と健康状態(フレイル、精神的健康)との関連を社会とのつながりや基本属性を考慮して横断的に解析する。並行して、2020年度に予定している追跡調査の準備を行う。 2019年度から2020年度にかけて全15地区でワークショップを行う。ワークショップでは、グループ運動ガイドを用い、グループ運動開始・継続のためのルール・ロール・ツールの抽出や整理を行い、グループ間で共有をして、円滑な活動を促進する。その後のフォローアップは、藤沢市のグループ運動登録制度事業とも連携し、持続的な活動のための基盤を形成する。 cRCTについては、定期的にグループ運動を実施していない(月2回未満)クラブを対象とする。ベースラインの評価実施後に、介入群と対照群の2群に無作為に割り付け、10週間の介入を実施する。主要評価項目は2ステップテストとする。副次評価項目は基本チェックリスト、健康関連体力(握力、通常歩行速度、開眼片足立ちテスト、CS-30テスト、体組成)、加速度計による身体活動量、認知機能(CADi2)、精神的健康状態とする。介入終了後は、介入における効果測定のための評価を行う。 ワークショップ・cRCTの実施にあたっては、藤沢市の担当課および市内の実践機関である藤沢市保健医療財団との連携体制が構築できており、円滑に遂行できる体制が整っている。
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Causes of Carryover |
当該年度の交通費が所要額より上回ったため、次年度に繰り越して使用する。
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Research Products
(7 results)