2018 Fiscal Year Research-status Report
Metabolic dynamics of vitamin K by elucidation of vitamin K side chain cleavage enzyme
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18K11056
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
廣田 佳久 芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (70724277)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ビタミンK / 側鎖切断酵素 / UBIAD1 / オミクス解析 / 小腸上皮細胞 / ゲノム編集技術 / 代謝ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
ビタミンKは、側鎖にphytyl側鎖を有するPKやisoprenyl側鎖を有するMK-n(n=1~14)、側鎖を持たないMDに分類される。これまでに、ヒトやマウスの組織中にはMK-4が最も高濃度に存在することが報告されている。しかし、食事から摂取するビタミンKは、主に植物に多く含まれるPKやMDであり、MK-4の摂取量は極めて少ない。このように、MK-4を殆ど摂取していないにもかかわらず組織中にMK-4が高濃度に存在することから、体内でMK-4へ変換される機構が存在すると考えられてきた。 申請者らはこれまでに、MK-4変換酵素がUBIAD1であることを世界に先駆けて同定することに成功した。UBIAD1による変換活性は、側鎖を持たないMDに対する活性は高いが、側鎖を有するPKに対する活性は約1/1000程度と著しく低い。しかし、マウスの組織中MK-4量はPK、MDのいずれを投与しても同程度であることから、体内には腸内細菌の影響なく、PKの側鎖を切断しMDの形に代謝する機構が小腸に存在すると考えられる。 ヒトが摂取したビタミンKは、小腸で側鎖切断反応を受け中間体MDとなり、リンパ管を介して全身に移行する。その後、MDは各組織に発現するUBIAD1によってMK-4に変換され、MK-4が活性型ビタミンKとして骨形成などの生理作用を発揮する。このような「ビタミンKの代謝ダイナミクス」の全容は未だ明らかでない。そこで本研究では、ビタミンK側鎖切断酵素の同定を通して、ビタミンKの本質的な重要性の解明を目指した。 本年度は、ビタミンKの側鎖切断酵素の網羅的探索に注力した。トランスクリプトーム解析およびプロテオーム解析を用いて、目的酵素の探索を行なっている。また、新たに合成した標識ビタミンK誘導体を用いて、特異的に結合するビタミンKを複数得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
側鎖切断反応関与することが考えられる複数の酵素および側鎖切断後の新たな中間体を見い出したため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在取り組んでいるオミクス解析や新たに合成した標識ビタミンK誘導体を用いた免疫沈降法を用いることで、ビタミンKの栄養素としての重要性を示すことができる。また、MK-4がホルモン様の作用を示すことから新たなビタミンK研究のパラダイムを提示することに繋がる。さらに、ビタミンKの代謝メカニズムを明らかにすることで、ビタミンKが関与する骨粗鬆症や脳変性疾患などの加齢性疾患の予防や新たな治療標的を提案することが可能になる。
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