2018 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of new functional food ingredients which are effective for prevention of mesothelioma due to regulation of mesothelioma stem cells
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18K11058
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
矢野 友啓 東洋大学, 食環境科学部, 教授 (50239828)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中皮腫幹細胞 / 幹細胞マーカー / 薬剤耐性 / Tumorsphere / 3次元培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の本研究の目標は、ヒト中皮腫細胞株の中から最適な細胞株を選択し、中皮腫予防食素材のスクリーニングに最適な中皮腫細胞クローンとその培養法を構築することである。まず、いくつかの中皮腫細胞株を用いて3次元培養(中皮腫幹細胞分離用培養無血清培地を用いる)によるTumorsphere形成能を指標にした最適な細胞株の絞り込みを行い、Meso-1細胞株が中皮腫幹細胞分離に最適な細胞株として絞り込みに成功した。次に3次元培養で形成させたTumorsphereを回収し、Tumorsphere非形成群と対比し、CD44,ABCG2等の複数のがん幹細胞マーカーの発現の違いをmRNA及びタンパクレベルで解析した。その結果、すべてのマーカーがmRNAレベルでは増加傾向を示したが、タンパクレベルではABCG2のみが増加し、他のマーカーは顕著な変化は認められなかった。したがって、Meso-1では、ABCG2活性を指標にした一次スクリーニングと三次元培養によるTumorsphere形成能を指標とした二次スクリーニングを組み合わせることで、効率よく中皮腫幹細胞を濃縮可能と考え、FACSによるSPフラクションの分離ないしはABCG2の基質であるトポテカン耐性を指標にした一次スクリーングと三次元培養によるTumorsphere形成能を指標にした二次スクリーニングを行い、幹細胞性を有した細胞群の絞り込みを行った。さらに、濃縮した幹細胞群の培養法について検討したところ、中皮腫幹細胞分離用培養無血清培地に中皮腫幹細胞の増殖に必要な増殖因子で二次元培養したところ、2継代まではある程度幹細胞性を維持できることが判明したので、今後は、3次元培養で濃縮した幹細胞群を2継代まで二次元培養で培養し、抗中皮腫活性を持つ機能性食素材をスクリーニングすることが最適と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標は、ヒト中皮腫細胞株の中から、中皮腫予防食材のスクリーニングに最適な細胞株と中皮腫幹細胞クローンの分離法の樹立とその培養法を確立することであった。細胞株の選択と中皮腫幹細胞クローンの分離法に関しては、ABCG2活性と3次元培養でのTumorsphere形成能を組み合わせることで、幹細胞性を有する幹細胞クローンの濃縮に成功したことで、当初の目標は達成できたと考える。また、Tumorsphere形成能の高いクローンを二次元培養で、培地組成を考えることで、機能性食素材をスクリーニングするに必要な培養法はほぼ確立できたといえる。以上のことを総合して、当初の目標はほぼ達成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度確立した中皮腫幹細胞クローン分離法と培養法を有効に使い、中皮腫幹細胞の微小環境である低酸素分圧条件下で培養し、がん幹細胞の生存に必要な小胞体ストレス、オートファジー関連シグナル分子等の複数のシグナル系を特定する。その上でこれらのシグナル分子を標的にした機能性食素材をスクリーニングし、中皮腫幹細胞を標的にした新たな中皮腫予防食素材の開発の可能性を探る。その予防食素材を絞り込む際に、作用点が異なる素材を組み合わせることで、より効果的な中皮腫幹細胞除去法を考案し、科学的根拠に基づいた新たな有効な中皮腫予防法の構築につなげる。
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Research Products
(4 results)