2020 Fiscal Year Research-status Report
母体高栄養摂取がもたらしうる次世代大腸発がんリスク変動に関する研究
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18K11066
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
藤井 元 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 主任研究員 (90321877)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 栄養関連がん / 高栄養摂取 / 非自己-遺伝類似影響 / エピジェネティクス / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
Minマウスはヒトにおける大腸がんの高リスク群である家族性大腸腺腫症(Familial Adenomatous Polyposis:FAP)患者と同じ遺伝子変異を有した疾患モデル動物である。このマウスでは12週程度から腸内に多くのポリープを形成し、消化管腫瘍を発症する事が知られている。 そこで一昨年度:H30年度にはMinマウス母体に前妊娠期以降、および妊娠確認期以降に、栄養成分比率の異なる高栄養飼料を与える実験を行った。具体的には、対照群では通期通常飼料にて飼育を継続実施する一方、実験群ではメスMinマウスのケージを分け、1)メイティングさせる1週程度前(前妊娠期)から、2)メイティング後の妊娠を確認出来た時期(妊娠期)以降に、それぞれ高栄養飼料(高脂肪飼料、または高糖分飼料)を与えた。 実験群・対照群の双方において、出生後は授乳期の親個体も授乳期以降の胎児個体も通常飼料とし、高栄養摂取の影響を純粋に親世代の前妊娠期及び妊娠確認期以降のみとした。 十分なポリープ形成が見込まれる生後13週以降の時期に腸管ポリープの数と大きさを測定し、統計解析によって発生率の有意な差異が生じているかについて検討すべく全てのマウスを屠殺/解剖し、腸内に出来たポリープの個数と大きさを個体別/部位別に測定した結果、前妊娠期以降、および妊娠確認期以降に高栄養飼料を与えた個体では、有意、もしくは傾向として、腸管に発生するポリープ数が多い、という結果を得た。 この結果から今後の研究展開に関する基礎的なエビデンスを得られたものと考え、今後の解析に取り掛かろうと計画していたが、所属機関からの要請によりAMED(日本医療研究開発機構)へ2年間の兼業出向(H31/R1年度&R2年度)となってしまったため、これ以降の解析を控え、上記実験結果の確認を研究協力者と共に改めて実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究開始時期であるH30年度には成分の異なる高栄養餌の入手などに手間取ったものの、最も基礎となるべきデータ:前妊娠期以降、および妊娠確認期以降に母個体に高栄養飼料を与 えた場合に仔マウスに生じる腸管ポリープの数と大きさの点で、対照群に比較して実験群に生ずる有意な差異に関し、統計的に肯定的な結果が得られたことから、概ね順調に進展していた。ところがH31/R1年度からR2年度にかけての2年間に予想していなかったAMED(日本医療研究開発機構)への兼業出向が機関の要請によって入ってしまい、予定していた研究がほぼ全て行えず、当初の計画からはかなり遅れてしまった。さらにR2年度はコロナ禍などの影響で、研究協力者の出勤や新たな動物実験の開始に関する自粛を求められたため、予定していた実験や解析を行うことが困難だったことから、進捗状況は率直に遅れてしまったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
R2年度までのAMED(日本医療研究開発機構)への出向が終了したため、コロナ禍での混乱は続いているものの、研究計画を延長した本年度は当初の予定の研究を少しでも進めたいと考えている。昨年度細々行っていたH30年度に行った実験結果の追試を小規模に並行して行いつつ、予定してた解析を集中して今年度に実施し、2年分の遅れを取り戻したいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究成果や研究計画で述べたように、H31/R1年度およびR2年度にはAMED(日本医療研究開発機構)への出向を行っており、またコロナ禍による出勤や新規実験の自粛により、予定していた研究がほとんど実施できなかったため。 今年度はこれまでの実験結果の再現性確認実験を行うと共に、遅れてしまった実験や解析を集中して行うことを予定している。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] he radical scavenger NZ-419 suppresses intestinal polyp development in Apc-mutant mice.2020
Author(s)
Kurokawa Y, Fujii G, Tomono S, Shingo M, Hamoya T, Takahashi M, Narita T, Komiya M, Kobayashi M, Higami Y, Mutoh M.
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Journal Title
J Clin Med
Volume: 9
Pages: E270
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Theracurmin inhibits intestinal polyp development in Apc-mutant mice by inhibiting inflammation-related factors.2020
Author(s)
Adachi S, Hamoya T, Fujii G, Narita T, Komiya M, Miyamoto S, Kurokawa Y, Takahashi M, Takayama T, Ishikawa H, Tashiro K, Mutoh M.
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Journal Title
Cancer Sci
Volume: 111
Pages: 1367-74
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Artesunate Inhibits Intestinal Tumorigenesis through Inhibiting Wnt Signaling.2020
Author(s)
Hamoya T, Fujii G, Iizumi Y, Narita T, Komiya M, Matsuzawa Y, Miki K, Kondo T, Kishimoto S, Watanabe K, Wakabayashi K, Sakai T, Toshima J, Mutoh M
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Journal Title
Carcinogenesis
Volume: 42
Pages: 148-58
DOI
Peer Reviewed
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