2019 Fiscal Year Research-status Report
飲酒習慣ならびに他の食習慣因子による腸内細菌叢の影響に関する臨床栄養学研究
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18K11087
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
大平 英夫 神戸学院大学, 栄養学部, 准教授 (40351762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 亨 東北大学, 工学研究科, 教授 (80268523)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アルコール / 飲酒習慣 / 腸内細菌 / 酸化ストレス / 大腸がん |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】習慣的な多量飲酒は種々のがんリスク因子であり、その1つに大腸癌があげられる。国内でも、アルコール依存症患者の大腸の腺腫及び癌の発見率は、顕著に高いことが報告されているが、その機序については未解明な部分が多い。そこで本研究では、マウスへのエタノール継続投与により、がんの誘因となる結腸傷害と炎症反応、特に酸化ストレス誘導への影響について調査検討を行った。 【方法】8週齢の雄マウスに対し、コントロール群(水1.0 mL/日)、エタノール(EtOH)1.5%(v/v)群(0.015 mL/日)、5.0%(v/v)群(0.050 mL/日)、3群に分類し、経口投与2週、10週継続投与の2群(計6群)への結腸組織傷害、ならびに炎症、酸化ストレスへの影響を評価した。 【結果】アルコール性脂肪肝を投与2週にEtOH5.0%群で認め、10週には両EtOH群で認めた。HE染色、トルイジンブルー染色、免疫染色観察による結腸の組織学的傷害スコアでは、EtOH濃度依存性、投与期間依存性に有意な傷害の発生を示した。結腸組織中F4/80陽性細胞(マクローファージ)数ならびに炎症性サイトカイン、ケモカインmRNA発現量は、EtOH1.5%群で2週に比べ10週で有意増加を示す一方、5.0%群では2週にピークを示し、10週には低下を示した。免疫染色ならびに組織定量した酸化ストレスマーカー8-OHdGは、両群ともに2週に濃度依存性に有意な増加を示す一方、10週に低下を示した。 【今後の予定】現状、本研究ではEtOH濃度、継続投与期間により、組織傷害と炎症、酸化ストレスのピーク期間の異なることを認めた。菌叢構造、組織変化により大腸がんリスクとの関連性について研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結腸組織の炎症に関わる要因について、スクリーニングを行い新規性がある標的候補が、見つかったこと。腸内細菌叢の構造についても順調に解析作業が進行しており、最終年度には、論文として纏めることが可能と考えているため。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスを用い、慢性的なアルコール摂取が大腸がんのリスクを増加させる機序として、現在進めている標的候補がその一因になりうるかどうかの評価を推進する。併せて、腸内細菌叢の構造変化に大きく影響を与える菌叢の特徴、そして科、属、種までの評価を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
腸内細菌叢構解析:解析用試薬、RNAから菌種の属、種変化解析実施のための試薬購入のため。 代謝物解析:糞便中有機酸の解析実施の試薬購入。 結腸組織:慢性のアルコール継続投与による、新規結腸組織障害のマーカー検索のための免疫染色用抗体、試薬購入のため。
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Research Products
(1 results)