2020 Fiscal Year Research-status Report
飲酒習慣ならびに他の食習慣因子による腸内細菌叢の影響に関する臨床栄養学研究
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18K11087
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
大平 英夫 神戸学院大学, 栄養学部, 准教授 (40351762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 亨 東北大学, 工学研究科, 教授 (80268523)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アルコール / 飲酒習慣 / 腸内細菌 / 酸化ストレス / 大腸がん |
Outline of Annual Research Achievements |
8週齢マウスを対象に、コントロール群(水1.0 mL/日)、エタノール(EtOH)1.5%(v/v)群(0.015 mL/日)、5.0%(v/v)群(0.050 mL/日)の3群に分類し、シリコンゲージによる経口投与2週、10週継続投与の2群(計6群)における結腸組織傷害、ならびに結腸組織炎症、酸化ストレスへの影響を評価した。 結果、顕著なアルコール性脂肪肝を投与2週後EtOH5.0%群で認め、10週後には両EtOH群共に明らかなアルコール性脂肪肝炎の各種評価項目の特徴を認めた。結腸組織への傷害レベルはアルコール濃度、投与期間依存性に異常を認め、組織炎症、酸化ストレスレベル(結腸組織8-OHdG)も同様の結果を得た。併せて、腸管免疫細胞の変化(regulatory T cell, Th17, マクロファージ)について確認し、EtOH濃度、投与期間依存性に、急性炎症、慢性炎症、組織傷害が重度化する結果を得た。マウスの継続的な結腸組織の炎症と酸化ストレス増加の機序として、Receptor for Advanced Glycation End Products(RAGE)に注目し、評価を行った。結果、EtOH5.0%群、投与期間にて、10週群マウスでは、結腸組織中の総advanced glycation end products(AGEs)、RAGEの有意な増加を認めた。 本研究により、長期アルコール摂取による大腸がん発症リスク増加には、RAGE経路による慢性腸炎、大腸がんへと進展が関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定より、2020年4月~6月末にかけ、世界的な新型コロナウイルス感染症により、海外(米国)への腸内細菌叢データベース申請対応の遅れ、所属大学での感染対策対応などにより、最終年(3年目)に進行中の研究への予期せぬ遅延が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
この1年で、アルコール継続摂取によるマウス腸内細菌の菌叢構造変化と評価解析、ならびに、結腸組織への酸化ストレスを改善する候補食品もしくは食品成分の探索を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
世界的な新型コロナウイルス感染による、4月から6月末までの研究計画の遅延ならびに、継続的なアルコール摂取による腸管炎症を予防する抗酸化候補食品、食品成分候補の探索遅延のため。
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