2020 Fiscal Year Research-status Report
食品成分は脂肪組織および膵β細胞の低酸素による機能障害を軽減できるか
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18K11088
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
松永 哲郎 武庫川女子大学, 食物栄養科学部, 准教授 (10452286)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レスベラトロール / ピセアタンノール / 糖毒性 / インスリン / 低酸素 / 膵β細胞 / PDX-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
2型糖尿病では、膵β細胞における低酸素ストレスによるインスリン分泌低下は重要な病態の一つである。本年度、本研究では、膵β細胞での低酸素環境におけるインスリン分泌および関連因子への影響を検討し、resveratrolおよびpiceatannol添加による改善作用について膵β細胞株INS-1Eを用いて検討した。 INS-1E細胞を90%コンフルエントまで培養した後、resveratrolまたはpiceatannolを添加(最終濃度:10μM)し、低酸素(5%)環境に24時間曝露した。その後、培養上清中のインスリン分泌量をELISA法にて測定した。また、insulinおよびその転写因子(PDX-1)、グルコース代謝関連因子(GLUT1、GLUT2)のmRNA発現量をリアルタイムPCR法により測定した。 低酸素環境への曝露により、インスリン分泌量およびinsulin、PDX-1、GLUT2のmRNA発現量の有意な低下が見られた。一方、GLUT1のmRNA発現量は有意に亢進した。resveratrol、piceatannolの添加により、インスリン分泌量、PDX-1、insulin、GLUT2発現量は有意な回復または回復傾向が認められた。以上の結果からresveratrolおよびpiceatannolは、低酸素による膵β細胞の機能障害に対して、改善作用を有することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、レスベラトロール、ピセアタンノールについて、低酸素による膵β細胞の機能低下への改善効果を検討することができた。この結果をもとに、作用機序についてさらに詳しく調べていく予定である。また、生体への効果の違いを動物実験で検証する足がかりが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
糖毒性・低酸素による膵β細胞の機能低下の改善効果について、より強い改善作用を示す食品成分のスクリーニングが必要である。その他のポリフェノール類に着目している。また、膵β細胞における糖毒性・低酸素下に起因する機能障害(インスリン分泌低下など)のメカニズムに関して、酸化ストレスや小胞体ストレス以外に細胞内エネルギー状態の変化に着目した研究を計画している。
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