2019 Fiscal Year Research-status Report
食物受け入れ能に及ぼす脳腸相関因子の機能的インタラクションの解明
Project/Area Number |
18K11099
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小橋 基 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (80161967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島谷 祐一 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (20154263)
藤田 雅子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助手 (40156881)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 上喉頭神経 / オレキシン / 胃弛緩 / c-fos / 摂食 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
自由行動下のラットで1回あたりの摂餌量(1回摂餌量)が摂食調節物質によりどのように変化するかを検討した。12時間明期、12時間暗期の条件で飼育したラットで、暗期の初回の1回摂餌量を測定した。ラットを摂食計測装置に留置する20分前に、溶媒(DMSO)またはオレキシン1受容体拮抗薬(SB334867)を尾静脈に注入した。その結果、溶媒投与群に比べてSB334867投与群の方が有意に1回摂餌量が小さかった。オレキシンAの胃弛緩作用はオレキシンⅠ受容体を介する。SB334867により摂食が減少したことから、オレキシンAが胃弛緩を介して摂食量を増加させることが行動実験でも示唆された。 また、嚥下及び胃の食物受け入れ弛緩に上喉頭神経求心性線維由来の情報が延髄背側部のニューロンを興奮させるか、また胃を支配する副交感神経節前ニューロンとどのように結合するか明らかにするため組織学的手法を用いて検討した。あらかじめfluorogold(FG)を投与し、上喉頭神経を電気刺激したラット延髄の切片を用いて、抗c-fosおよび抗FG抗体の酵素抗体法による二重免疫染色を行った。c-fos免疫陽性細胞は刺激と同側及び反対側の背側迷走神経複合核群(孤束核、最後野、迷走神経背側運動核)及び腹外側部に認められた。 迷走神経節前線維の細胞体を含む迷走神経背側運動核では、FG腹腔内注入または胃壁注入により逆行性標識された細胞のいくつかにc-fos免疫陽性細胞が観察された。さらに、FGで逆行性に標識され、かつNOS免疫陽性を示すとともにc-fos免疫陽性を示す細胞が迷走神経背側運動核の尾側部に観察され、NANC(非コリン性・非アドレナリン性壁内ニューロン)伝達関与の可能性も示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
嚥下反射の修飾作用については既に明らかになっている。また、摂食量(1回摂餌量)の計測でも目的に沿った結果が出ている。さらに、組織学的検討結果は胃の運動性を調べる上で極めて有用な結果であった
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Strategy for Future Research Activity |
食物受け入れ能に関する脳腸相関因子の相互作用のうち嚥下反射についてはほぼ完了している。今後は胃の食物受け入れ作用について検討を行う。その際、嚥下で明らかになったオレキシンAおよびGLP-1について検討を行う。またオレキシンAが摂食促進に関連する視床下部外側野の情報を伝えることから、逆に摂食抑制に関連する視床下部室傍核性の信号についてもその相互作用を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究は概ね順調に進展している。平成30年度執筆が遅れていた論文の投稿料などの費用が予定より安価であった。さらに、令和元年度執筆予定の論文の投稿がやや遅れており、それにともなう経費の支出がなされておらず繰越金が生じた。この論文はまもなく投稿予定であり、繰越金を英文校閲料、投稿料、印刷費等に使用予定である。
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