2020 Fiscal Year Research-status Report
食物受け入れ能に及ぼす脳腸相関因子の機能的インタラクションの解明
Project/Area Number |
18K11099
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小橋 基 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (80161967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島谷 祐一 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (20154263)
藤田 雅子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助手 (40156881)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オキシトシン / GLP-1 / オレキシン / 胃弛緩 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度及び2019年度の研究で、1)摂食促進ペプチドであるオレキシンA及び摂食抑制ペプチドであるグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)のそれぞれが反射性嚥下を抑制し、その抑制作用は2つのペプチドにより相互に抑制されること、2)オレキシン1受容体拮抗薬の前投与で1回食事量が減少すること等を明らかにした。本年度の研究では、胃の食物受入能に焦点を当てて研究を行った。我々のこれまでの研究で、リザーバーとして機能する胃近位部は摂食亢進ペプチドで弛緩する。すなわち食物受け入れ能が促進される。一方、胃遠位部では律動収縮が亢進し胃排泄能を促進する。今年度の研究では、摂食を抑制するペプチドの胃収縮性に及ぼす作用を検討した。視床下部室傍核が産生するオキシトシンは摂食抑制作用をもつ。オキシトシンの第四脳室内投与は胃近位部の内圧を亢進し、胃遠位部の律動収縮を抑制した。したがって、オキシトシンは胃の受入れ能を減弱させ胃排出を抑制することを示唆している。同じく摂食抑制作用をもつGLP-1も胃近位部及び遠位部の収縮性に対してオキシトシンと同様の効果を示した。このように、摂食抑制性ペプチドは摂食促進性ペプチドと逆の作用をもつらしい。さらに、予備的実験としてオレキシン1受容体拮抗薬を第4脳室に前投与したところ、オキシトシン投与による胃近位部収縮作用が促進した。これのことから、オキシトシンの作用はオレキシン1受容体を介する可能性が示唆された。すなわち、視床下部室傍核由来のシグナルと、視床下部外側野由来のシグナルが延髄でインタラクションしていることが考えられる。オレキシン1受容体拮抗薬の効果については、2021年度の研究で詳細な定量的解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は胃収縮性の検討を行う予定であり、予定通り研究を行っている。また、嚥下に関する論文の執筆・出版も行った。ただし、実験回数が予定より少なかったので、統計的に有意性を示すまでの結果が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
摂食抑制性ペプチドのオキシトシンの胃近位部に及ぼす作用を定量的に評価し、胃の受け入れ能の減弱作用を明らかとする。さらに、この効果がオキシトシン1受容体を介して発現することを明らかとし、視床下部室傍核由来のオキシトシンと視床下部外側野由来のオレキシンの延髄内での相互作用を検討する。
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Causes of Carryover |
論文の投稿料が見込みより少なく、学会がオンライン開催だったので旅費の支出がなかった。また、新型コロナウイルスの影響による実験停止期間等があったことから、予定通りの実験回数を遂行することができなかったため、次年度使用額が生じた。使用計画としては、今年度遂行できなかった実験を次年度に行うための物品費等に充当する。
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