2021 Fiscal Year Research-status Report
食物受け入れ能に及ぼす脳腸相関因子の機能的インタラクションの解明
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18K11099
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小橋 基 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (80161967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島谷 祐一 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (20154263)
藤田 雅子 岡山大学, 医歯薬学域, 助手 (40156881)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オキシトシン / オレキシン / 胃弛緩 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度の研究で、視床下部室傍核が産生するオキシトシンの第四脳室内投与により、胃近位部の内圧は上昇し胃遠位部の律動収縮は抑制された。これらの結果は、オキシトシンは胃の受入れ能を減弱させ胃排出を抑制することを示唆している。同じく摂食抑制作用をもつGLP-1も胃近位部及び遠位部の収縮性に対してオキシトシンと同様の効果を示した。令和3年度の研究では、受け入れ能の指標となる胃近位部内圧の応答を指標として、第四脳室内に投与したオキシトシンが延髄背側部のどこに作用するかを明らかにした。候補部位として、第四脳室底に最も近い最後野、その直下の孤束核交連部、左側の孤束核内側部、その直下の迷走神経背側運動核の4カ所を仮定した。これらの部位のいずれかに先端径30μmのガラス管から3 pmolのオキシトシンを微量注入することにより内圧上昇がどの部位で生じるかを確認した。その結果、オキシトシンの最後野注入により、3分でピークに達する内圧の上昇が認められた。さらに、オキシトシンの孤束核内側部への注入により、最後野と同じく大きな内圧の上昇が認められた。これら2部位の内圧上昇は統計定期に有意な上昇を示した。オキシトシンの孤束核交連部への注入は潜時の長いゆるやかな内圧上昇を示したが有意差は認められなかった。迷走神経節前線維の細胞体がある迷走神経背側運動核への注入は、少なくとも我々が用いた容量では、効果をもたなかった。これら4部位への溶媒の注入は内圧上昇を示さなかった。これらの結果から、オキシトシンの作用部位は最後野と孤束核内側部であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和3年度で研究を終了する予定であったが、研究施設の改修工事や、新型コロナウィルスの影響による実験停止期間等があったことから十分な実験回数を得られなかったので遅れが生じ研究期間を延長した
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の研究で明らかになったオキシトシンの作用部位に、オレキシン及びアンタゴニストを作用させオキシトシンの効果がどのように変調されるかを検討し、視床下部室傍核由来のオキシトシンと視床下部外側野由来のオレキシンの延髄内での相互作用を検討する。
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Causes of Carryover |
研究施設の改修工事や、新型コロナウィルスの影響による実験停止期間等があったことから十分な実験回数を得られず、予定より実験の経費が少なく、また論文投稿が行えなかったので、英文校閲料や投稿料の支出がなかった。さらに、学会がオンライン開催だったので旅費の支出がなかった。使用計画としては、今年度遂行できなかった実験を次年度に行うための物品等および論文投稿関連費用に充当する。
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