2019 Fiscal Year Research-status Report
痛風・高尿酸血症の予防と改善のための食事による尿酸値への影響の定量的評価
Project/Area Number |
18K11111
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
福内 友子 帝京大学, 薬学部, 講師 (10389116)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高尿酸血症 / 痛風 / プリン体 / 食事 / HPLC / 一斉分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、プリン体一斉分析(核酸、塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド)による食品中プリン体プロファイリングを作成するとともに、食品ごとの尿酸値上昇への影響を定量的に評価することを目的としている。 令和元年度は、昨年度に引き続きHPLCを用いたプリン体一斉分析法を用いて、痛風発症危険率への寄与が疫学的に報告されている酒類や肉、魚類を中心に食品のプリン体プロファイリングを行った。結果として、酒類中のプリン体含量はあまり多くはないが、各酒類によって分子種別のプリン体構成が全く異なるプロファイリングを示したことから、疫学研究における痛風発症危険率の違いには、当初の仮説通り、含まれるプリン体の分子種の違いも関与していることが示唆された。 また、これまでの研究により食品の調理や加工により、プリン体量や分子種の存在様式に変化があることがわかってきており、さらに調理前後のプリン体についてプロファイリングを進めた。調理や加工の方法によっては、血清尿酸値への影響が大きいと報告のある特定の分子種のプリン体量を大幅に減少させることが明らかになり、上記と併せてより有益な食事指導への提案が可能となった。 腸管モデル細胞を用いた食品およびその成分のプリン体吸収・分泌への影響評価については、近年尿酸値を下げる働きを有する機能性表示食品として着目されているポリフェノール類に焦点を当てて検討した。その結果、尿酸の前駆体であるヒポキサンチンの細胞内外輸送が阻害されることが見いだされ、さらにOrbitrap LC-MS/MSを用いたメタボローム解析法による代謝的変化についても追跡中である。 今後も引き続き、測定と解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
産休・育児休暇を取得したため、腸管モデル細胞を用いた評価や動物実験など当初の計画からはやや進捗は遅れている。しかし、酒類中プリン体プロファイリング、Orbitrap LC-MS/MSを用いたメタボローム解析法の最適化などは順調に進んでいる。また、学会発表は数多くできたが、論文発表が行えていないため、復帰後、積極的に行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
食品中プリン体のプロファイリングを継続するとともに、腸管モデル細胞を用いた評価にメタボローム解析を加え、食品成分負荷による尿酸値上昇への影響について、 さらなる検討を進める。食事の観点から、年々増加傾向にある痛風・高尿酸血症の予防について考える一助としたい。また、一連の酒類におけるプリン体プロファイリングは完了しており、血清尿酸値への影響について現在までである程度のことが明らかにできたと考えており、今年度中にしかるべき学術誌に発表予定である。
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Causes of Carryover |
細胞実験が滞っているため、消耗品購入分の予算が繰り越しとなった。復帰後速やかに研究を開始する予定であり、これらの費用は繰り越しで使用する予定である。
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